2015年6月 ピョートル・アンデルシェフスキ Piotr Anderszewski AFRインタビュー

06/10/2015付の豪紙・”Australian Financial Review"に掲載されたインタビュー・「ピョートル・アンデルシェフスキ、果たすべき雪辱」(settle a score=恨みを晴らす、借りを返す、の意。ピアニスト相手のインタビューなので、score=楽譜の意味も掛けています。)から抜粋。原文はこちらからどうぞ。

7歳の時、一家はパリに引っ越す。(「フランス語はネイティブ並みに話せるよ」) 

ワルシャワの音楽高校に入学したのは14歳の時であった。「でも、プロになるつもりは全然無かったんだ。ただ、結果的にそうなってしまっただけ」

彼は言う。「後悔はしていない。でも、孤独な仕事だ」

とはいえ、孤独にも、居場所の無さといった感覚にも、今ではすっかり慣れてしまったようだ。ポーランドとハンガリーという二つの全く異なる背景を持つ両親の元に生まれ、かつてはパリ、現在ではリスボンに居を定めながら、コンサートツアーのために否応無しに世界中を飛び回らねばならない彼にとって、これは止むを得ないことなのだ。


「根無し草みたいな生き方だなって、よく思うんだ」と、と語るアンデルシェフスキ。

「ロマン主義者の一匹狼」と呼ばれることにさほど悪い気はしないようだ。「普通、ピアニストは自分一人で練習し、一人でステージに上がる。コンサートが終わって、いろいろな人と挨拶を交わすには交わすけど、それが終わればまた一人ぼっち。で、こんなホテルの部屋の中に一人いる、と。ものすごく孤独な仕事だよ。」

「仕事は好きだけど、きついと感じる時もある。あまりにも神経が細いようでは、押し潰されてダメになるだろうね。今までの経験から言って、この音楽稼業において最後に成功を収める『勝ち組』は、往々にして全然才能の無い人々だったりするんだ。僕も、自分の事は自分で守らなきゃ、と思っている。」
アンデルシェフスキはなおも続けた。 2011−2012に1年間の長期休暇を取った、と言う。休暇中はとにかく眠った。ヨガの滞在型講習会に幾度か参加したのを別とすれば、特にこれといった予定は入れなかった。
 
「あれが効いているんだと思う。今のところは、だけど。」


【訳者注: ヨガの他に、京都の禅寺での座禅体験も含まれているはずです...。】



読書(ヘルマン・ヘッセ、トーマス・マン)が好きで、今時の音楽については全く無知、と言ってはばからない彼。  
(「ビートルズは知ってる。でも、その程度。」)。

 モーツァルトの「魔笛」を聞くと、思わず涙ぐんでしまうそうだが、その様子は映画「あるピアニストの旅路 Unquiet Traveller/Un Voyageur Intranquille」でも見ることができる。


DVD版もあります。


どこか「浮世離れた」した感じのつきまとうアンデルシェフスキ。とはいえ、彼は決して堅苦しいだけの石頭などではない。



才気煥発であり、人好きのする風貌に魅了される人は数知れず。イギリスの大物チェロ奏者・ルイーズ・ホプキンスも、そうやって彼と親しくなった一人だ。彼女も今回、クイーンズランド州タウンズヴィルで開催されたオーストラリア室内楽フェスティバルに出演中である。

(後略)

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