2016/03/08

スパンダー・バレエ「ゴールド(Gold)」、解釈の試み。

1980年代前半に主に活動したイギリスのバンド、スパンダー・バレエ。
デビュー当初は話題作りのためか、多少無茶な演出もありましたけど(*注)、その後スーツでバシッと決めた品行方正な、ちょっとアダルトな感じの、高級ホストクラブのかほり漂う(←アヤマリナヨ!)人気バンドへと見事に脱皮していきます。


以後、メンバーの脱退、再加入など、山あり谷ありの歴史を経まして、現在は順調に活動を継続中。2015年には世界ツアーにも出ているんですね。


(*注:「無茶な演出」って何?と、気になってしょうがない、「アンタも好きねぇ〜」なお方へ。 Googleで”Spandau Ballet" "loincloth"←要するに「ふんどし」...のキーワードで画像検索すると、答が出てきます。 でも、中学生以下の良い子は刺激的過ぎるから見ないでね。)




「トゥルー(True)」(1983)が最大のヒット曲、ってことになっていますが、私が一番好きな彼らの曲は、「トゥルー」に続く第二弾シングルとしてカットされた、「ゴールド(Gold)」なのです。最近は毎日聴いてます。





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去年出たこちらのベスト盤の方がお得かな?2枚組ですし。

ストーリー~ザ・ヴェリー・ベスト・オブ・スパンダー・バレエ
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"Gold"という、発売以来30年以上経ってもなお、多くの人に愛されている曲。



これ、どういう内容の歌なのか、ずーーーっと謎だったんですよね。


私が中学生でこの曲を耳にした時は、インターネットなんて存在していませんでした。
情報といえば、ラジオか、(ごくわずかの)テレビ番組か、「ミュージックライフ」などの音楽雑誌か。ただそれだけ。
歌の歌詞が知りたけりゃ、自分でリスニングスキルを高めて、一字一句単語を書き留めていくか(←フツーの中高生には高等技術すぎる!)、もしくは、レコードをちゃんと買うか借りるかして、歌詞カードというものを入手するしか無かったんですよ。
何もそこまでしなくても...と、根性無しの上、他の某ミュージシャン(後述)にせっせと小遣いを注ぎ込まねばならなかった私は、結局そのままズルズルと30年以上放置してしまいます。



でも、好きな曲なんだから、サビの部分の"Gold! Always believe in your soul, you've got the power to know...."以外の部分もちゃんとした歌詞で歌いたいな〜、って最近、急に気になり始めまして。
そうなると当然、内容もちゃんと自分なりに理解したい、という流れになります。



そこで、ネット上にあるいろいろな方の和訳にも目を通してみました。
残念ながら、どうも自分的にしっくり来るものが無く...。



(正しい/正しくないの問題じゃないですよ。ひとつの「物語」として、あまりピンと来る物が無かった、っていうことを言いたいのです。批判してはいませんよ。大いに参考にさせていただいた部分もありますから。)



だったら、自分でやってみるか、と。



いきなり英文和訳に取り掛かるのではなく、せっかくインターネットという情報の宝庫があるのですから、皆さんがどんな解釈をこの歌に付けているのかを最初に調べてみることにしました。


これは、英語ネイティブの人でも様々に解釈の分かれる、一筋縄では行かない歌です。
ちなみに、公式ビデオは「内容理解にはあまり役に立たない。雰囲気だけ。」との意見をよく見かけましたので、ご覧になる時はそのつもりでどうぞ。


数ある見解の中で、私が「なるほど」と思ったのは、次の二つのストーリーです。


1.ある男性が主人公。2年前に彼の元を去り、久々に訪ねてきた元・彼女に向かい、「それでもやはり君は素晴らしい」と褒め称える歌。
別れる際、女は男のプライドを傷つけない配慮をして、「立つ鳥後を濁さず」式にきれいな形で去ってくれた。そのことに男は今でも感謝しています。
 
だから、今もなお「引け目」を感じる事なく再会できたし、彼女が再び去っていっても「まっすぐに立っていられる」と言っているのです。

そして、こちら。


2.ある父親が主人公。何らかの事情(親子の不和?)で2年前に家を出て、久々に訪ねてきた娘に向かって語りかける歌。再び多忙な日々へ戻っていく我が子に、「お前は素晴らしい。だから、自分の魂の声を信じろ」と激励の言葉を贈るやもめ暮らしの父親。

慣れない家事に難儀している(椅子がボロっちくなっていても、何もできずに放置、とか。)、といった描写から、この父親、つい最近妻を失って、一人暮らしになったのではないか、と推測できます。「失った」と言っても、それが生別・死別はわかりませんけどね。(妻 イコール 子供の実の母親、とは必ずしも限りませんから。80年代のイギリスだって、離婚・再婚の話なんてそれほど珍しくなかったはずですよ。)

「大丈夫。俺の事なんて心配するな。お前はすごい奴なんだから、自信持つんだぞ。また頑張って来い。暇が出来たら、またいつでも帰って来いよ。」と気丈に娘を送り出そうとします。


うーん。どちらも捨て難い。


私としては、父性愛をテーマにした2の方が、男女関係よりも心にググッと来ますがね。
ま、バンド側からの公式見解が発表されているわけではないので、どっちが正解、というのも無いでしょう。ビデオにはほんの少し父親っぽいイメージの中高年男性が登場して、ヴォーカルのトニー・ハドリーに黄金のジグソーパズルピースを渡してはいますけどね。
あまり関係無いのかな。



では、早速行きます。


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ゴールド(Gold)/スパンダー・バレエ(Spandau Ballet):
【和 訳】に挑戦☆

(間違いや提案があれば、ぜひコメント欄で教えてください!)



帰って来てくれてありがとう
悪いけど くたびれた椅子ばかりでね
僕がここに置きっぱなしにしたからだ 間違いないさ
まだ未熟で不慣れなこともいろいろあるけど
何とかぼちぼち暮らせているよ
今日には今日の遊びがあるし
ああ でも 君のこと 誇らしく思っているよ
君は僕の誇りなんだ
でも 引け目なんて微塵も感じてはいない
幸運にも こうしてまっすぐ立っていられるから


 [コーラス]
最高の君
いかなる時にも おのれの魂を信じて欲しい
知るという力を手に入れ
不撓不屈の君
いつも信じていて欲しい
君は最高なんだってこと
どうしても戻ると言うんだね それを聞いて嬉しいよ
僕もそういう風になれればよかった
君は不撓不屈
いつも信じていて欲しい


慌ただしさが一段落したら
君もゆっくり一息つけるといいね
僕と君とは共犯者 
悪いことも一緒にしたよな
まだあれから2年も経っていない
スーツ姿で テキパキ動くあの男
君 知ってるね あの 現場にいた彼だよ
あいつは 君に惚れてる 恋をしている
僕の愛はまるで刑務所の
大丈夫さ 君が行っても 僕はまっすぐ立ち続けるから


[コーラス]
僕の愛はまるで刑務所の
大丈夫 君が行っても 僕はまっすぐ立ち続けるから


[コーラス]
最高の君
いかなる時にも おのれの魂を信じて欲しい
知るという力を手に入れ
不撓不屈の君
いつも信じていて欲しい
君は最高なんだってこと
どうしても戻ると言うんだね それを聞いて嬉しいよ
僕もそういう風になれればよかった
君は不撓不屈
いつも信じていて欲しい





Copyright: artshock / 123RF Stock Photo


Gold

Thank you for coming home
I’m sorry that the chairs are all worn
I left them here I could have sworn
These are my salad days
Slowly being eaten away
Just another play for today
Oh but I’m proud of you, but I’m proud of you
There’s nothing left to make me feel small
Luck has left me standing so tall
Gold
Always believe in your soul
You’re got the power to know
You’re indestructible
Always believe in,because you are
Gold
Glad that you’re bound to return
There’s something I could have learned
You’re indestructible,always believe in
After the rush has gone
I hope you find a little more time
Remember we were partners in crime
Its only two years ago
The man with the suit and the pace
You know that he was there on the case
Now hes in love with you, he’s in love with you
And my love is like a prison wall
But you could leave me standing so tall
Gold
Always believe in your soul
You’ve got the power to know
You’re indestructible
Always believe in, because you are
Gold
Glad that you’re bound to return
There’s something I could have learned
You’re indestructible, always believe in


http://www.spandauballet.com/discography/gold-1/の歌詞を転載しました。)


2009年に発売された、ヒット曲の数々を新たなアレンジでセルフカバー、新録音。
ボサノヴァ風の味付けが施されたスパンダー・バレエもぜひ聴いてみたいな。



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ここでちょっとだけ告知です。



今、このページを読んでくださっている方々の中に、1980年代の洋楽がお好きな方、どんくらいいらっしゃるんでしょうねぇ。
少なくとも、スパンダー・バレエの「ゴールド」の記事ということでお読みくださっているのであれば、ひょっとして80年代のイギリス音楽にも興味がおありかな、と、勝手に期待しております。



あのー、スクリッティ・ポリッティ(Scritti Politti)という3人組(当時)のバンド。
聞いたこと、ありますか?





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シングル盤として最も商業的に成功を収めた、”Perfect Way"(ビルボード全米チャート最高位11位)です。



80年代のイギリス音楽、特にシンセ・ポップ/エレクトリックと称される音楽が好きで、彼らにまつわる話を読んでもいいな〜という奇特な方はいらっしゃいますかねぇ。
私(師岡桂子)のG+アカウント(このページ左側下の方、「中の人」と書かれた囲みにある、下の方のボタンです)をクリックしていただくと、「関心事」という見出しの下に


スクリッティ・ポリッティ+グリーン・ガートサイド('80s)


という隠し部屋(別に隠してなんかいないんだけど)がございます。


あまりにも個人的な、偏りのある四方山話ばかりですが、よろしかったらいらしてください。
以上、宣伝でした。

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