2016/06/24

邪道でしょうか...【スリル thrill】至上主義の音楽選び

どうも、最近気になって仕方がありませんでした。


音楽だけを集中して聴く


という体験のためだけに使われる時間、年齢と共にどんどん減っているんじゃないか、って。



いえ、音楽に対する興味が薄れたわけじゃないです。
薄れたどころか、以前にも増して超・超・超熱心に聴くようになった音楽ジャンルもありますので。
それもひとえに去る3月1日、この方と「再会」してしまったがゆえ...。



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今月初めにようやく手に入れた2枚組CD、今はもっぱら車の中で聴いています。一人っきりの閉じた空間で音量を上げて(運転に支障の無い範囲内で☆)音の世界にどっぷりと浸るようにして聴く。
これがまた、いいんですよねー。嗚呼、至福のひととき。


「うわー、ピアノの音って、弾く人次第で本当に



・*:..。o♬*゚きらきら!・*:..。o♬*゚



っていう風に聴こえてくるものなんだ!!!」
(「のだめカンタービレ」の中で、誰かが言っていた通りだった...。)


といったうれしい新発見もできましたし。
P.A.様の奏でる音楽、本当に一つ一つの音の粒の響きがきれいなんですよね。その中でもバッハとシューマンの作品は特に素敵だと思います。
(ごめんね、ベートーヴェンはあまり好きでないの。これからぼちぼち勉強していきます...。)



一般にフランス革命以降の音楽(要するに「ロマン派」)にはあまり食指が動かぬバロック音楽好きの私ではありますが、他ならぬこの方が研究に研究を重ねた上で、精魂込めて演奏しているとあらば、「よし、いい機会だからシューマンの音楽もいろいろ聴いちゃうぞ!んでもって、良いところ探したるぞ!」 と、俄然やる気が湧いて来ました。


(一人でも多くの素人ファンを音楽の豊穣かつディープな世界へと導いて行ける、っていうことは、演奏家の優秀性を物語る何よりの証拠、だと思うんですよね。一人でも多くの不信心者を改宗して信仰の道へと導いた聖職者が優秀だ、っていうのと同じ理屈で。)





P.A.様。
いよいよ来週はドイツでのSir John Eliot Gardinerとの共演3連チャンですね!良い公演となりますように...(人∀・)タノム デコメ絵文字



やる気だけはあるものの、「ながら聴き」ではなく、流れてくる音楽に全注意力を傾けて、きちんと椅子に座って静かに音楽に耳を傾ける...といった、古き良き「音楽鑑賞」という贅沢な時間を味わうことは、年々難しくなっていくばかり。一週間のうち一時間も作れれば上等、じゃないでしょうか。
何でこんなにセカセカしてるんでしょうね!?
(寝る前にヘッドフォンで聴く、っていうのは私の場合ダメなんです。横になったら3分もしないうちに前後不覚に陥っちゃいますから。音楽なんて聴けたもんじゃありません。)


元々聴覚型の学習スタイル・情報収集スタイルなもんで、つい欲張ってあれも聴きたい、これも聴きたい...と、知識や情報を耳から入れたがる癖のある私。
その癖が今、悪い方に働いてしまい、やれあっちのポッドキャストだ、こっちのYouTubeチャンネルだ、そっちのオーディオブックだ...と、聴きたいもの・聞かなきゃいけないものを増やし過ぎてしまいました。
ふと気が付いてみると、音楽だけをじっくりと聴く、音楽そのものに集中しながら聴く、という時間は随分と削られていました。



耳も一対、頭もひとつ、心も以前と変わらずひとつ(...と数えていいものかどうか)。おまけに、1日は依然として24時間しかない、と来ている。
なのに、その1日の枠の中に何とかして入り込もうと体当たりアタックしてくる外からの音声情報の量は、この数年だけでも爆発的に増えてしまっている。とてもじゃないけど、入って来た物全てを消化できるはずがありません。



「時・間・が・無・い!」と感じているのは、きっと私だけではないはずです。
モンティ・パイソンの1970年代から時代を下ること早40年、技術の進歩や通信手段の変化にも関わらず、人類の行動パターンってあまり進歩してはいないのかなあ。




(あらら。かわいそ〜なロートレック...。)



「そうそう、これ聞かなきゃいけないんだっけ!」
「しまった、あれもまだ聴いていなかった!」
そんなことにばかり気付く毎日が続くと、まるで自分がポッドキャストの「未聴番組リスト」の奴隷と化してしまったかのような気分にすらなります。
いくらなんでも、これはまずいでしょう。



そろそろ自分なりにある一定の基準軸を設けて、流入する一方の音・情報をばっさりと仕分けしていく必要が出てきたみたいです。
さもないと、音楽や情報の洪水の中で「あれも聴かねば、これも聴かねば。」という強迫観念ばかりが大きくなるばかり。
で、自分に問いかけてみることにしました。

...自分はどういった音楽/音声情報だったら、きちんと集中して、気合いを入れて聴くべきだと思っているのか。

...また、どういった音楽/音声情報だったら、「かけ流し」「作業用BGM」として粗末に(←失礼な表現なんだけど。)扱っても構わないと思っているのか。



何とかこの問題をうまく言葉で片付けることができないもんだろうか、と思った私は、いろいろな所に答を求めてみました。
まずは、クラシック音楽の分野において「メンター(指導者)」と私が個人的に仰ぐ親類の女性・杏(あん)・エリオットさん(※もちろん仮名)と、スカイプ使って長々と質疑応答。
それから、自分の手持ちのCDやiPod Classicに入っている音楽コレクション、YouTube動画を片っ端からつまみ食い。


で、今朝、自分が納得できる結論らしきものに数日かけてようやく到達。
きっかけをくれたのは、犬の散歩をしながら聴いていた、スティーヴィー・ワンダーのこのアルバムでした。


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1982年に出た2枚組ベスト盤で、うち4曲は書き下ろし新曲です。
この中で昔から大好きな曲が二つありまして、その一つが全米チャートで最高位4位を記録した”That Girl”。




この歌の1:39付近からの部分

スティーヴィーが、

"... that I love her
That I want her
That my mind, soul and body needs her..."

と歌うそのバックで流れるコーラスにご注目を。

b-a-g-f#-f
b-a-g-f#-f...

と、階段を一段ずつ下るかのように、計算し尽くされた動きになっているでしょう?(あー、素人の悲しさ。こんな稚拙な表現しかできない!)
ここ、聴く度にいつも鳥肌立つような快感を覚えます。
何でこんなすごい音の合わせ方ができるんだ、この人は!!!って。20世紀アメリカのロック&ポップミュージックの歴史の中で、スティーヴィー・ワンダーこそダントツNo.1の天才中の天才だ、って、本気で思いますね。
(しかもご存知の通り、彼は生まれた時からほぼ盲目の視覚障害者です。)




もう一曲は、アルバムを締めくくる、これもまたスマッシュ・ヒットとなった書き下ろし新曲の"Do I Do"(全米チャート最高位13位)。





歌詞はいたって普通の、いや、かな〜り糖度高めの(笑)愛する女性に向けたラブソングでしかありません。ポップで陽気でキャッチー、と片付けることだってできちゃうような、そんな親しみ易さにあふれています。



でも、上の"That Girl"と同じく、いつも私はこの曲を聴くと背筋にゾクゾクっという快感が走ります。
その理由、こちらのコメント欄で、あるイギリスの方(お名前やHPを拝見する限り、プロの音楽家でしょう。)が私の言いたかったことをズバリ代弁してくれていますので、引用しときます。


How on earth does someone write a genius song like this? - All the ups and twists and chord changes that just all seem to fit perfect taking you on a journey and then deliver you back to that feeling of the home chord....amazing song writing. Nothing and I mean NOTHING musical today holds a candle to this carefully crafted music. (以下略)

一体どうやったらこんな天才レベルの曲が書けるっていうんだろう?音の上がり下がり、ひねり、変わっていくコード進行の全てが完璧に組み合わさっているその様子は、聴く者を旅へと連れ出しては、ちゃんとオリジナルのコードのところへ送り届けてくれるといった感じすら与えてくれる...驚くべき作曲能力だ。
今日耳にする音楽のうち、このように入念に練り上げられた音楽と比べものになるようなものなんて、何も、何一つありやしないよ。

100%同意。もはや付け加える言葉もありません。


これらスティーヴィー・ワンダーの二曲が共通して持っていて、私を強く惹きつけて離さないもの。
その本質を一言で言い表すならば、


【スリル thrill】

という単語がぴったり来ます。
ようやく納得の行く定義に行き着きました。


スリル、と言ったって、マイケル・ジャクソンの「スリラー」のPVで、ゾンビさん達が群舞するあの映像と結び付けられちゃうとちょっと困るんですけどね。ここで私が言う「スリル」とは、


「ゾクゾクっと走る快感」
「血沸き肉踊るような喜び」


のことです。あくまでも、【快】の側から発せられる、そういう感覚。


過去を振り返ってみると、確かに自分にとって「これは特別!」と思えるような曲やミュージシャンって、そういう【スリル thrill】の要素を多分に感じさせてくれるような作品や演奏家がほとんどでした。


「うわーっ、どうして、こんな神業のような素晴らしい演奏ができちゃうの!?」

「うわーっ、どうして、こんな複雑でありながら、きれいにまとまった魔法みたいな曲が書けちゃうの!?」


そうつぶやいて、彼らが時折見せてくれる「超人的なヒラメキ」の部分にガガガーン!!!と打ちのめされたら最後、後はひたすらファン道まっしぐら...。(で、現在に至る、と。)




クイーン Queen しかり。


2016.4.30の記事で触れたインタビュー映像を見てからエディのギター奏法を見ると、「あー、やっぱり小さい頃にピアノをみっちりとやった人ならではの指の使い方なんだな〜」と妙に感心してしまいます。)


(寂しいな。モーリス・ホワイトも死んじゃったし...。)


グレン・グールドの「ゴールドベルク変奏曲」。

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などなど。きりがないので、ごく一部だけしか挙げませんでしたけど。


クラシックあり、ハードロック系あり、ブリティッシュ・ニューウェイブ系あり、と、てんでばらばらで統一感の無い顔ぶれのように見えていながら、実は全てを貫く共通項、ちゃんとあるんですよ。
それは


【スリル thrill】


という、このビビッと一瞬のうちに走り、全身を快感でもって麻痺させてしまうような、あの独特の感覚、なんです。
要するに、「ぞくぞくっ!」であり、「わくわく!」。
「今、幸福エネルギーが稲妻のように降ってきたっ!」って感じでやって来る、あの、「瞬間的に充電完了っ!!!」という感覚。


(まぁ、上記の一部の人々に関しては、多分に「萌え (*°∀°)=3」の要素が含まれていました、と、ここで正直に告白しておきます。←「おい、『多分』なんて控えめな言い方でいいのか?」と、私の中の批判屋が嫌味を言っておりますが...う、うるさい、黙れ!)



でも、この「ぞくぞくっ!」「わくわく!」という喜びの感覚があるか無いかという基準に従って、これから自分が真剣に聴く価値のある音楽を選んでいくとしたら、この先はかなり満足度の高い音楽生活が確実に送れそうな、そんな気がします。
乱暴に聞こえるかもしれませんが、本当に時間をかけて付き合いたい音楽家がいて、大切にしたい音楽があるならば、そのくらい思い切った取捨選択作業をやっていかないとダメだと思うんです。



だって、時間は自分で捻出しない限り、増えていくことは無いのですよ。
既に人生の半分を生きて終えてしまった私のような年齢の者は、特にそのことを常に頭のどこかに置いておいた方がいいです。残された時間には限りがあるのですから。
中世以降、ヨーロッパの人々が口々に言い続けてきたMemento mori(死を思え)の言葉は、50を目前としたわれわれ世代にとっては、決して他人事などではありません。
グダグダと、どーでもいい物事に関わって、時間も労力も浪費していてはあまりにも勿体無いというものです。



「この中でどれを選んだら、より多くの幸せを味わうことができるだろうか?」
いつ、いかなる状況に直面してもそう自分に問いかけ、そして、悔いなきように決断を下す。
迷って、選んで、そしてズバッと決める...というこのプロセスを日常的に繰り返し練習していけば、音楽だけに限らず、生活のいろいろな部分で無駄を削ぎ落とすことができ、シャキッと背筋伸ばして生きていけそうな気がしますね。
たとえ、見通しの良くない、心浮かぬ日々が延々と続くような時期があったとしても。
(そういう時こそ、一つ一つ吟味して「これだっ!」と選んでおいた珠玉の音楽コレクションが私達の折れそうになった心を支えてくれるんですよ。いわば、「まさかの時のための、心の常備薬」。自分だけに通じる選定基準を設け、その基準にかなった最良の物ばかりを大切にストックしておく必要、これでわかっていただけますでしょうか?)



仕事のために良作も駄作も一通りは聴かねばならず、大人の事情ってことで少しはヨイショ↗発言も混じえないと角が立ってしまうような、プロの音楽評論家や音楽ライターの方々(つらいでしょうね...。)と違って、われわれ素人は「気に入ったものだけ聴けばいい、後は放って置いてもOK。」と自由に言える恵まれた立場にあります。もっと自信持って、「自分はこう思う」「自分はこう聴いている」って、一人ひとりが大声で言っちゃっていいんじゃないでしょうか?
プロの音楽家だって、きっとそういう素人ファンからストレートな感想が返って来るのを楽しみにしているんじゃないかな。
(ね、そうですよね?P.A.様。あなたがおっしゃっていた「コミュニケーションとしての芸術」は、きっとそうした聴衆と演奏家との間に交わされる忌憚なき意見交換をも含みますよね?私はそう信じています。)



そもそも、「音を楽しむ」のが音楽本来の在り方。
あーだこーだと小うるさい約束や、面倒くさいしきたりなんかに囚われることなく、自由に何でも聴いて、何でも拒否して構わない素人の特権、フルに行使しましょうよ。専門家にどう見られるか、世間的な評価はどうなのか、なんて気にしないで。
美辞麗句で評論家風に語れなくたって、饒舌でなくたって、別にいいじゃありませんか。
他人の言葉を借りるより、自分の言葉で感じたことを表現する方がはるかに重要ではないでしょうか。



そして、耳にした音楽や、たまたま出会った音楽家に「ぞくぞく!」「わくわく!」の感覚を覚えたら、その作品や音楽家との縁を大切にする。
それで充分じゃないでしょうかね。ムズカシイこと抜きにして。
聴き手が明日を生きるエネルギーとして音楽をうまく人生の中に取り入れるのであれば、作った人も、演奏した人も、きっと素直に大喜びしてくれるんじゃないかな、って思います。



...ってことで、明日・明後日の遠距離ドライブのお供にまた聴きますよ。
車の中で、「カーネギーホール・ライブ」のCD2枚組。



ライブ盤には収められなかったこちらのヤナーチェクの曲も、いつかCD録音を果たしていただきたいものです。手元に置いて、大切に何度も聴き続けたいので。
(息が止まるほどに繊細で、詩情豊かなP.A.様ならではの素晴らしい音色、3分半ほどの小品ですので、クラシックに興味の無い方もぜひ聴いてみてください!)



2016/06/18

【お子さん・下戸の人】★気を付けて!!!「コンブチャ」★【妊婦さん・授乳中のお母さん】

コンブチャ。
英語表記だと、Kombucha。


でも、その正体はと言いますと、われわれが小さい頃から慣れ親しんできたこれ


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とは似ても似つかぬ、全くの別物なのだそうです。
皆さん、ご存知でした? 



だって、こちらのスーパーにずらりと並ぶKombuchaという名の瓶入り・缶入りドリンクをよく見てみると、書かれているのは「レモン」「アップル」「ざくろ」といったフルーツ名ばかり。


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あの、懐かしの昆布茶に、よりによってフルーツ味を合わせて甘くして飲むだなんて。げ〜。(「サスガ味オンチノアメリカ人。ヤルコトガ違ウヨ...」)
想像しただけで胃がムカムカするようで、とても怖くて手が出せませんでした。
お値段も一瓶2〜3ドル、と、決してお安くはないですし。



自分では絶対金出してまで買うつもりは無かった「コンブチャKombucha」。
その正体が、1970年代に一斉を風靡した謎の健康食品・紅茶キノコであると知ったのはつい最近のことでした。


(すぐ下の動画:https://youtu.be/IUy9Nlp0Omcより)




私、うっすらと覚えているんですよね。
幼稚園から小学校に入るぐらいの頃、親戚のおばさんの家に行き、そこで広口瓶(梅酒とか作る時に使う、アレね)に入った謎の物体を見せられて、「何だこりゃ」とドン引きしたこと。
恐らくそこで菌を「分けて」もらったのでしょうが、元々そっち方面にはあまり熱心でないうちの親のことですから、その後の菌の消息は推して知るべし、でしょう。


もう一本、詳しい紹介動画をどうぞ。




Kombucha(現地人も「コンブーチャ」と発音)。
当地(アメリカ西海岸)の自然食系スーパーの棚で見かけるようになってから、かれこれ数年は経つでしょうか。
最近ではごく普通のスーパーの清涼飲料コーナーに、スターバックスの瓶入りコーヒーや、無糖紅茶といった「ちょいとお高い系」ドリンクと並べて、目立つところに置かれるまでに市民権を得てきたようです。
...って、これ、うちが西海岸だからなのかな。アメリカでも中西部の田舎の方では、まだそこまで浸透していないかもしれませんね。



でも! 
ちょっと待った!!!

「健康に良さそうだから」「セレブが愛飲していて痩せたから」と、むやみやたらにコンブチャに手を出すのは危険です。


実は今日、ひどい目に逢いましてね。


私、コンブチャで悪酔いしました。

...あれ、下戸にとっては立派なアルコール飲料です。
 
酒と同じです。



「コンブチャなんて、そんなもん...」と避けて通っていた私が、そもそもなぜコンブチャを飲むことになったか、と言いますと...



毎週、ヴィニヨガ(viniyoga)のクラスに通っているヨガスタジオが去る6月15日にめでたく1周年記念を迎えましてね。
で、記念抽選会に応募してみたところ、何と何と、珍しくくじ運の悪い私が当たってしまい、オーガニックローションやら、ラベンダーの香り付きのアイピローやら、クラスチケット6回分(←これはありがたい!!!$90相当!!!)、ラベンダーのサシェ...といった素敵な品々の詰め合わせバスケットをいただいたんですよ。
その中に、「コンブチャ 1杯無料」の券が入っていました。



受付のお姉さんが「今、飲んでみる?」と言ってくれたので、いそいそと一緒にスタジオ内のコンブチャバーコーナーへ。
こんな感じのサーバーが置いてあって、ビールみたいにシュワーっと下のタンクから汲み上げてくれるようです。

(https://youtu.be/ObFHAqkyzLoより)

3種類試飲した後(やっぱりフルーツ系主体だった)、一番甘くて口当たりの良かった「パイナップル&ターメリック(うこん)」を注文。
ゆっくりと時間をかけて飲みたかったので、ヨガスタジオを出て、車で数分のところにある日系スーパーの駐車場へと一旦移動し、読書しながら1杯分を10分かそこらで飲み干しました。



「さーて、買い物して帰るか。」と、車の外へ一歩足を踏み出したところ...



何???


この、数十年ぶりに、頭周りに漂う


「クラッと感」。



それに、足元の方も、いつもと違ってどことなく心許ないような...。




間もなく、自分がゆでダコのように真っ赤になっていることに気付きました。顔だけじゃなく、指の先まで、見事に全部。
全身の血管がドバーっと開いて、血がドクドクと身体中を駆け巡っているのも感じられました。
これは間違いなく、「酒に酔った」状態。
健康飲料の「コンブチャ」だと信じて飲んだものが、まさか「酒」だったなんて...。



くーーっ、やられたー。無念!!!




今でこそ完全に下戸であることを自認し、奈良漬にすら手を出さない私でありますが、そのさじ加減が分からなかった高...(以下略)



エヘン。(←咳払い)



若かりし頃(と、ぼかしときましょう)には、随分と地獄も見ました。
飲み会の帰り、真っ青な顔で小田急線各駅電車に乗ったはいいけど、一駅ごとに降りてトイレに走り、少し楽になった頃にまた電車に乗り、揺られたせいで気持ち悪くなり、次の駅で降り...
なんてね。
さすがにあれだけ痛い思いすれば、「もう酒なんて懲り懲り。一生飲まない。」と決意したくもなりますよ。
以後、誓い通り、酒は自分からは一滴も飲んでいませんでした。



...今日の今日まで。



まさか今日、それも、よりによってヨガスタジオで無料サービスしてもらったコンブチャ一杯(スターバックスで言えば、グランデサイズ)のせいで、再びあの悪夢を体験する羽目になるなんて...。
どこが健康やねん!どこがヘルシーやねん!嘘付くな、ボケ!!!
...と、全然板についていない関西弁で悪態付きたくなってしまう程、それはそれはひどい酔いっぷりでした。
数年前のノロウィルス感染時に匹敵するようなゲロゲロゲ〜な状態でしたよ。死ぬかと思った...。



駐車場で2時間程休み、少し酔いが覚めたタイミングを見計らってエイヤッ!と出発し、どうにか無事故で帰って来れましたけど。
その後、夕方から真夜中までぶっ倒れていました。
家族の晩ご飯は、何とか在りモノがいろいろ残っていたおかげでどうにかなりました。とてもとても料理なんてできる体調じゃなかったです。
普通だったら、倒しても倒れない程の健康優良中年なのに。



胃袋を空っぽにし、水だけ飲み、5−6時間ぶっ続けに眠れたおかげで、ようやくアルコールが身体から抜けていったようです。(だからこんな変な時間にブログなんて書いているのですが。)



で、いろいろと検索してみたところ...ありましたありました!



あー、やっぱりね。
「コンブチャ=アルコール飲料ではないか?」という疑問の声、既にいろいろな方面から上がっていたんですね。


「いちごやマンゴー、ジンジャーなどの味の種類があり、ほとんどのコンブチャにはアルコールが含まれています。


リンジー・ローハンが飲酒運転で捕まった際に、「わたしはお酒を飲んでいない!コンブチャを飲んでいただけ!」と、言ったことは有名な話。これがきっかけで、アメリカでコンブチャが広まったとされています。


アメリカのコンブチャは、アルコールが含まれていますので、妊婦さんや授乳をしている方は飲まれないほうがよいと思われます。しかし、日本で販売されているコンブチャは、アルコールが含まれていませんので、妊娠中の方や授乳中の方でも安心して飲むことができます。」
( 出典:「今大注目のコンブチャとは?」







ワイングラス一杯で酔っ払っちゃう(まず、真っ赤になり、その後真っ青になってゲロゲ〜ロ...)人間にとっては、【劇薬レベル】でした。普段からアルコール飲料を飲み慣れている人はあまり気が付かないかもしれませんが、「コンブチャ」のアルコール、バカに出来ない量が入っていましたよ。
それにしてもしんどかった。



「コンブチャ」にアルコールが入っているか否かは、ひとえに「保存容器の中でどこまで発酵が進んでしまっているか?」にかかってくると思うのです。


宮沢賢治の「やまなし」の最後で、父さんカニが子供たちに言ったような現象がコンブチャ=紅茶キノコの容器の中でも起こっているのだ、って考えていいのではないでしょうか。
専門的なことはわかりませんが。



青空文庫さんより引用します。

『どうだ、やっぱりやまなしだよ、よく熟している、いい匂いだろう。』『おいしそうだね、お父さん』『待て待て、もう二日ばかり待つとね、こいつは下へしずんで来る、それからひとりでにおいしいお酒ができるから、さあ、もう帰ってよう、おいで』
http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/46605_31178.html




以下に挙げるような方々、特に、アルコール分が含まれているかどうかを味見しただけで判断できない(←私だ。)人々にコンブチャを勧める際には、くれぐれも気を付けていただきたいものです。
日本そば、キウィフルーツといった特定の食品に対するアレルギーと同じで、体質に合わない人にとっては思いっきり危険なものとなる可能性があること。
これだけは覚えていただきたいですね。
「健康」「ヘルシー」の美しい謳い文句だけで片付けて欲しくないです。




  • 下戸の人




  • お子さん・未成年者




  • 妊婦さん




  • 授乳中の女性




  • これから車の運転をする人




こういった人々の場合、少量のアルコールにも敏感に反応してしまう恐れがありますので、飲用の際は充分気を付けてくださいね。



以上、自ら人体実験して「コンブチャ=アルコール飲料説」を証明してしまった者からの、ささやかなる警告でした。
合う人にとっては、おいしくて身体にいいものなんでしょうけどね...。



やっぱり「コンブチャ」は、ちゃんと本物の昆布の味がするものでないと! 
看板に偽りある、なんて〜のは勘弁していただきたいです。





2016/06/08

「エマ」〜ジェイン・オースティン流、【シャドウ(影)ワーク】入門編。【後編】

長くなってしまったので、前・後編に二分割しました。
前編はこちらからどうぞ。


http://backtotheessencenow.blogspot.com/2016/06/blog-post.html#more



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私は未読なのですが、こちらの中野康司さんによる現代的な訳の方が読みやすい、という方は大勢いるようです。Kindle版にもなっていますし。

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以下の部分にはネタバレが含まれています。まだ「エマ」を読んだことがない、映画/ドラマも見たことがない、という方、くれぐれもご注意ください。


2016/06/07

「エマ」〜ジェイン・オースティン流、【シャドウ(影)ワーク】入門編。【前編】

数ヶ月前に手に入れたものの、忙しさにかまけてずっと放置していたこちらのDVD。



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ご存知、イギリスが生んだNo.1小説家(←シェイクスピアは「劇作家」だからジャンルはかぶりません。)の誉れ高い、ジェイン・オースティン(Jane Austen、1764−1817)の「エマ」です。


オースティンが活躍した時期は、ちょうど江戸時代後期の化政文化時代と重なってますね。本居宣長、十返舎一九(「東海道中膝栗毛」)、平賀源内、杉田玄白&前野良沢(「解体新書」)と同時代。
...と書けば、「随分昔の人なんだな〜」と改めてびっくりされる方も多いでしょう。


私がオースティンの世界にドボンとはまったきっかけとなったのは、ダーシー役を務めたコリン・ファースの名声を確固たるものとした、こちらの作品。
彼も、今じゃすっかりハリウッドでもお馴染みの顔となりましたね。
(でも、他のキャストも、コリン・ファースに負けず劣らず素晴らしい演技を見せてくれていますよ。あまりにも好き過ぎて、この作品についてならば何時間でも余裕で語れそう。)


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イギリスで本放送された1995年には残念ながらちょびっとしか見られなかったのですが、翌年日本に戻ってきた時に、タイミング良くNHK-BSで日本語吹き替え版が放送されました。ラッキー。
以後、「ジェイン・オースティン教」の熱心な信者(巷ではそういう人々をJaneiteと呼んでいます)として生きていこう、と固く決意し、その思いは20年経った今もなお変わること無く、熱く、静かに燃え続けております。



このトラベルマグ、欲しい...。
http://www.cafepress.com/mf/64372895/my-god_mugs





今回見たのは、その、オースティン後期の大作・「エマ」の、現時点では一番新しい映像化作品。
2009年、BBCが全4回のミニシリーズとしてテレビ放送用に制作しました。



1995年版「高慢と偏見」(上にリンクを貼ったコリン・ファースで有名な作品です)という大傑作を手がけたBBCが作ったからには、駄作にはならないだろう、と少しは期待していたんですよ。
でも、ここまで出来の素晴らしい作品になっていたとは。
正直言って予想していませんでした。



私にとってはこれが「エマ」の決定版、となりそうです。
頼むから、リメイクなんて無駄なことは今後一切しないで欲しいです。要りませんから。
テレビ・映画業界の皆さん、聞いていらっしゃいますか〜。



今作品一番の成功要因は、何と言ってもヒロイン・エマを演じるロモーラ・ガライ嬢の名演技、ではないでしょうか。ジャケット写真からはその魅力があまり伝わらないかもしれませんが、実際動いて、笑っている彼女はとってもチャーミング。ぜひ、下の予告編動画をクリックして、ご自分の目で確かめてみてくださいな。



ここ20年(!...こ、光陰矢の如し!!!)の間に作られた「エマ」の映像化作品としては、まぁ、次の2作が代表的なところではありますが、



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正直申し上げて、どちらの作品を見ても


... 何 か が 違 う !!!


という抵抗感だけがつのっていき、作品を楽しむどころか、逆にストレスばかりが増えていき、プンスカしているうちにジ・エンド、という残念な経験に終わってしまいました。



ストレスの理由ですか?
まぁ、思いつくことはいろいろあるのですが、両作品ともに最後の最後まで主人公のエマが好きになれなかった、印象を好転するきっかけが見つからなかった、というのが一番大きいですかね。
(個々の女優さんに関するコメントは、公の場ですので謹んで自重させていただきます...。要するに、「違う」としか感じられなかったんですよ。)



ヒロインがすったもんだの末、ようやく好きな人と結ばれたというのに、見ているこっちが「ふーん。」と冷め切ったままで話が終わってしまう。
そんな消化不良を起こさせるような作品は、いやしくも「ジェイン・オースティン原作」と謳う以上、「あってはいけない」んですよ。



ヒロインの幸せにうるうると涙腺緩めつつ、「良かったね、ほんとに良かったね!(私もうれしい!)」と、一緒にお祝いせずにはいられない。
そういう純粋な感動の共有+もらい泣きによって引き起こされるカタルシス体験。
これこそ、映像化作品ならではの魅力ではないかな、と思います。
そうした体験を提供してくれない映像化作品なんて、見る意味無いですよ。
時間はかかりますが、小説だけ読んでいた方がはるかに大きな満足感を安全・確実に味わえるというものです。
脚本家や監督といった人々の余計な解釈に邪魔されずに済みますしね。


残念ながら、私にとって上の2作品はそうした「良かったね!(ウルウル)」と気分が良くなるような映画ではありませんでした。
「水戸黄門」で、8時45分になる前にちゃんとテレビの前に座って、格さんが「え〜い、静まれ静まれぃ!」と切り出すのを今か今かと待っていたのに、結局最後まで印籠が出ないまま、とりあえず悪い奴は一掃されました〜と、ナレーターが淡々と説明だけして話が終わってしまった...。
それと同じで、「どうもすっきりしない。」という負の印象しか残らなかったのです。



ところが!



今回の2009BBC版の「エマ 恋するキューピッド」は違いました。

(以下、ネタバレ注意です。)