2016/12/13

まだまだ語り足りない、「シーモアさん」

日本では10月1日から公開されているので、既に見たよ!っていう人もかなりの数に上っているんじゃないかと思う。

「シーモアさんと、大人のための人生入門」(原題:Seymour: An Introduction)
http://www.uplink.co.jp/seymour/


地域によってはこれから上映されるところもあるので、シーモアさん未体験の人、ぜひ上のリンクを辿って公式HPでスケジュールをチェックしてみて欲しい。




映画を見ての感想めいたものは前回の記事でさんざん書いた。
http://backtotheessencenow.blogspot.com/2016/12/blog-post.html
なので、今回は前回のブログ記事に詰め切れなかった「こぼれ話」的な話題を、二つほど書き連ねてみたい。


去る11月24日のこと。
こちらではThanksgiving Day(感謝祭の休日)という、アメリカ人にとっては日本人の大晦日~元旦にあたるような、家族や親戚で集まってはターキー(七面鳥)を食べながらお祝いする、という祝日であった。
この日は、学校はもちろんのこと、客商売以外のたいていの企業も、そして夕方以降はスーパーやレストランといった、「一番しぶとく営業を続けている」とされるような業種ですら全部閉まってしまう。
24時間営業の店から灯りが消え、車の往来がガクッと減り、街はしばしの間しーんと静まり返ったようになる。
(もっとも、わずか数時間の後には、日本の福袋騒動なんて目じゃないほどのブラックフライデー狂騒曲が始まるわけだけど。毎年、怪我人や死人が出る。いつまで続けるのかなあ、こんなこと。)


そのサンクスギビング当日。
私のエニアグラムの師匠の一人・ラス・ハドソン先生から教え子・友人に向けてFacebookでこんなメッセージが届いた。




(投稿より一部抜粋、訳出)
「今朝、大切な友人のトニー・ズィート Tony Zitoがつい最近亡くなった、との一報が届いた。かなりの衝撃を受けている。
トニーは深い思考力を備えた賢い魂で、僕同様、音楽と芸術をとても愛していた。
 さまざまな分野に興味・関心を抱いていて、素晴らしい頭脳もさることながら、ピアノの腕前も玄人はだしだった。 
僕にとってトニーは真の友と呼べる人物だった。彼が大いに励ましてくれたからこそ、僕はエニアグラムと第四の道【*注1】の教えを更に深く掘り下げていくことができた。 
トニーの人となりを知りたければ、彼がプロデューサー【*注2】として関わった素晴らしい映画 Seymour: An Introduction (邦題「シーモアさんと、大人のための人生入門」)を見ればいいだろう。 
彼の師匠で、導師(メンター)である人物を取り上げた作品だ。あのRotten Tomatoesでなんと100%の好評価をマークした【*注3】ほどの作品だよ!
トニー、君が逝ってしまって寂しいよ。遺されたトニーのパートナーであり、探求の道の仲間でもあるダイアンDianeには心からの愛を贈りたい。近いうちに僕ら二人で再会する機会を持とう!」

【*注1】アルメニア出身のG.I.グルジェフを祖とし、弟子のウスペンスキーやその他の弟子たちを通じて西洋の知識人を中心に伝えられてきた、秘教的教えの伝統。性格タイプの学としてのエニアグラムも源流を遡るとここに行き着く。

【*注2】ラス先生はプロデューサー、と書いているが、実際の肩書は「エグゼクティブプロデューサー」、つまり製作総指揮。監督を補佐して全体のまとめ役に当たる人であった。

<<参考記事:Yahoo!知恵袋「監督と製作総指揮の違いはなにですか?」>>

【*注3】有名な映画批評情報サイト。点数が辛いことで知られる。

<<参考ページ:Wikipedia Rotten Tomatoesの項(日本語)>>

なんと。
ラス先生と、「シーモアさんと、大人のための人生入門」の製作総指揮を務めたトニー(アンソニー)・ズィート Tony(Anthony) Zito氏が、古くからのご友人だったとは...。
(なぜか日本の公式HPには片仮名によるクレジット表記が無いのですが、HPの一番下に行くとちゃんと英語で載ってました。executive producer anthony zitoって。)




自分にとって、人生観を変えてしまったと言ってよいほどの衝撃をもたらしてくれた、「シーモアさんと、大人のための人生入門」という一本のドキュメンタリー映画。
その映画の製作総指揮者を務めた方と、これまた自分の人生を大きく(良い方向へと)変えてくれた性格タイプの学・エニアグラムの師匠のおひとりであるラス・ハドソン先生がつながっていたなんて. . . 。


エニアグラム―あなたを知る9つのタイプ 基礎編 (海外シリーズ)
ドン・リチャード リソ ラス ハドソン
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残念ながら、現在簡単に入手できる邦訳本としては、これが唯一のもの。)

この事実だけでも充分びっくり!だった。
なのに、その後、DVDで映画を再度見直して、またまた仰天。
始まってすぐの場面で、イーサン・ホークがはっきりとこう口に出していたからだ。

「友人のトニー・ズィートが夕食に招いてくれて、そこで僕はシーモア・バーンスタインにはじめて出会った」

わーお。


つまり、
トニーさんと、奥様のダイアンさんのお二人がその夕食会を企画してくださって、シーモアさんとイーサン・ホークの二人を一緒に招いていなかったとしたら、この名作が誕生することもなかった、と...。
これに気付いた瞬間、身震いしてしまった。


偶然に偶然が重なって、素敵な人間と、また別の素敵な人間との間にご縁が生まれる。
そうしたご縁の積み重ねが、そこに集まった人々の間に不思議な力を発動させ、予想もしなかったほどの素晴らしい結末へと向けて全てが収斂(しゅうれん)していった。
これ以上のメンバーは望めない、っていう才能ある人々が見事に取り込まれ、数々の奇跡に助けられ、命が吹き込まれた作品。
それが、この「シーモアさんと~」という映画だったんだな。


亡くなられたトニー・ズィートさんには、どれほど感謝しても感謝し足りないほどだ。
ピアノの師匠であるシーモア先生よりも先にあの世へと旅立たれたのは、まことに残念至極としか言いようがない。
シーモア・バーンスタインという素晴らしい老ピアニストがこれまで歩んできた道のりとその音楽とをイーサン・ホーク監督やスタッフの皆さんと共に映画という形にまとめて、わたしたちの元へと届けてくださったトニーさん。
精一杯の感謝の気持ち、そして「今はゆっくりとお休みください。」との言葉をささげたいと思う。


(ラス先生同様、シーモアさんも長年の生徒/友人を失われてさぞや落胆されていることと思う。どうか周囲の人々が支えとなって、先生のお気持ちを慰めてくれますように。)


それから、もう一つ。


映画を見た方限定の話題になってしまうのだが...。


この方、覚えていらっしゃるだろうか。
シーモアさんとセントラルパークを見下ろす窓に近い席に座り、音楽談義をしていた、60代前半のイギリス英語を話す紳士、なのだが。

(DVD上映中の我が家のテレビを思わずパシャ!)

アンドリュー・ハーヴィー(Andrew Harvey)。


いや~、彼の登場には本当に驚かされた。
というのも、この人、私がさんざん記事で取り上げている「7つのチャクラ」

7つのチャクラ (サンマーク文庫)
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「チャクラで生きる」

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などの代表作で知られるキャロライン・メイス(Caroline Myss)と大の仲良しなのだから!


何でも、今は二人ともシカゴの郊外、文豪ヘミングウェイの出生地としても知られるOak Parkという地域内の、5分と離れていないところに住むご近所さんとなり、ほぼ毎日のように行き来しているらしい。同い年(1952年生まれ)の二人、互いをsoul sister/brotherと呼び合う程の仲だそうだ。

(画像はhttp://www.greatmystery.org/nl/ei2011myss.htmlから拝借。)

これまでに、二人一緒にオーディオブックを2作作ってきた上、互いの本の解説や序文を書き合うなど、息はぴったりといった感じのキャロラインとアンドリューのペア。

Divine Rebels
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Caroline Myss & Andrew Harvey
Sounds True (2012-07-30)
(これ、アンドリュー・ハーヴィーの語り方があまりにも熱すぎちゃって、車の中で聞くと笑えて笑えて...。浪漫主義者の松岡修三氏みたいな、熱がこもり過ぎなアチチチッ!!!な口調、って言えば雰囲気が伝わるかなあ? 
お二方、近々「シャドウ(影)ワーク」をテーマにした新作CD/オーディオブックを出すとのこと。録音は既に終了している模様。楽しみ!)

シーモアさんとアンドリュー・ハーヴィーの対談形式という、肩の凝らない読み物としても楽しめるこちらの本でも、キャロライン・メイスがアンドリューにとってかけがえのない友人の一人であることが述べられていた。

Play Life More Beautifully: Conversations With Seymour
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私はキャロライン・メイスという指導者を崇拝しているわけでもないし、「グル(導師)」扱いする気もさらさらない。
グルどころか、むしろ、破れどころ、ほつれどころ、ツッコミどころが満載!の、口の悪い愛すべきガラッパチおばちゃん、だと思っている。
だから、彼女の泊りがけ講座やセミナー(高いよ)に参加したいとも思わないし、彼女と直接話をしたいとすら思わない。
(下手なリップサービスとかできない、粗削り過ぎる人だからねぇ。うっかり疲れている時に話し掛けでもしたら、超そっけない対応とかされそうで怖いよ。)
ただ、遠巻きに見て、本やCDで話を聞くだけでいい。単なる一読者・一ファンのままでいい。
それ以上のことは何も期待しない、って感じ。


それでも、キャロライン・メイスから学んだことはたくさんあるし、彼女の気合注入でシャキッとさせられ、目を開かされたことは数えきれないほどあった。
彼女が伝えてくれている硬派(で、実は物凄く正統派のド根性系)なメッセージの中身が純粋に好きなのだ。
自分を甘やかす人が多いスピリチュアル系/ニューエイジ業界において、そのようなメッセージを嫌われようが、低評価をつけられようが、少しもブレることなく世に送り続けてくれている彼女の姿勢は尊敬している。大いに感謝している。
「近くに行く気はないけど、大切な師匠。」の一人。
キャロライン・メイスとは私にとってそういう位置付けの人だ。
ラス・ハドソンさんみたいに「もっとお話ししたい!」というタイプの親しみやすい師匠とタイプは全然違うけど、それでもやはり「師匠」は「師匠」だ。そう勝手に呼ばせてもらっている。


そんなキャロライン・メイスの大親友であり、仕事上のパートナーでもあるアンドリュー・ハーヴィーが、シーモアさんと長年の友人関係にあって、
しかも例のトニー・ズィートさんの夕食会に招かれ、その晩初めてシーモアさん同様、イーサン・ホークに出会った。
で、あの映画が生まれた。
驚いたことに、トニー・ズィートさんと奥様のダイアンさんは、ラス・ハドソン先生にとっての大切な恩人的存在でもあった、と...。


いやぁ。
人と人とが織りなす縁って、面白いなあ。


自分にとっての尊敬する人々、大好きな人々が、自分の知らないところで縁を結び、親しくなり、一緒に力を合わせて美しい仕事を完成させ、人類の歴史の中にまた一つ宝物を残していった。
その様子をこうして目の当たりにすると、まだまだこの世界は捨てたもんじゃないぞ、魔法って本当にあるんだぞ、「つまらない」なんて簡単に言っちゃいけないぞ、と思える。
明るく、希望に満ちた気持ちにさせられる。
励まされる。


きっと、神様(か、私たちには見えない、何らかの偉大なる力。)は、われわれ人間には見えないところで、今、この瞬間にも無数の壮大なプロジェクトを同時進行で進められ、着々と実行へと移していらっしゃる最中なのかもしれないなあ。
そう思わざるを得なくなってきた。


必死に悩み、もがき苦しみ、右往左往するわれわれ人間どもの動き方の癖や長所・短所もひっくるめた何もかもを把握された上で、神様はわれわれひとりひとりにふさわしい役を割り振ってくださっている。
映画やお芝居と違い、文字にされた脚本が事前に与えられることは一切無い。それだけに、先の展開が見えず、演じるわれわれが不安になることも多い。
多い、どころか、実際は「どうしたらいい?」「次は一体どうなる?」ってオロオロすることばかりだけど. . . 。


それでもわれわれは前に進むしかない。
与えられた役目を果たすしかない。
【プロジェクトby 神様】に何らかの形で貢献したいのであれば、どんなに小さかろうと、この世に自分が生きたという確かな足跡を残したければ、とにかく何かを「やる」しかない。
それが何であれ、まずは目の前にある作業をひとつひとつこなしていくしかない。
作業にあたっては、最善を尽くし、できるだけ質の良いものを生み出すよう努力する。
そうした仕事/努力から逃げずに、こつこつと続けていくことではじめて【自分を好きになる self-love】ことができるんじゃないかなあ。シーモアさんによると、それこそが創造的活動を続ける上で一番必要とされるものだ、という。

(シーモアさん、エニアグラムで言うと非常に健全なタイプ9でしょうね。
人格的に成熟した9の人ならではの、癒しのマイナスイオン放出中、です!
ちなみに、アンドリュー・ハーヴィーは非常にわかりやすいタイプ4<笑>でしょう。
タイプ5のウィングだろうな。
もう、あのクッソ熱い、抑揚の激しい一人芝居的な喋り方からして、
他のタイプは絶対あり得なーーーーい!!!って感じ。)

「創造的活動をする上で一番大事なものは何だと思う?
【自分を好きになること(self-love)】だよ。」って。
自分を好きになれないと、外からあれこれ言われた時にもあっという間にへこんでしまい、何も続けられなくなってしまうから、って...。


繰り返して何度も見たい、何ともありがたい動画だ。
人間という生き物へ向ける、シーモアさんの眼差しはどこまでもあたたかい。
そして真実をちゃんと見抜いていらっしゃる。
ほんと、ユング心理学でいうところの「老賢人(老賢者・Old Wise Man)」の元型をまさに体現していらっしゃるようなお方って感じがする。


...でも、やっぱり「"わたしの"地蔵菩薩さま」っていう表現が一番しっくり来るな。
笑顔のシーモアさんは。


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(来週届くのだ!早く読みたい!!! 
上のアンドリュー・ハーヴィーとの対談本はKindle版で買ったけど、少しだけ後悔。
パラパラっとめくっては目が留まったところを【本日のおみくじ】風に読む、という楽しみ方をしたいのであれば、やっぱり紙の本がいいですね。 )


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