2016/10/29

R.I.P. ピート・バーンズ(Dead or Alive)。〜「僕には子供時代なんて無かった (I had no childhood.)」

10月23日に突然この世を去ってしまったデッド・オア・アライブのヴォーカル、ピート・バーンズ(1959-2016、享年57歳)。


有名な、あまりにも有名な。


下にG+の埋め込みという形でYouTubeへのリンクを貼っておいた。(直接ブログ本文に動画の貼り付けができないもんで。)
この「サイキック・セラピー」、正確な情報は確認できなかったのだが、おそらく2007‐2008年頃にイギリスで放映されたテレビ番組と思われる。
司会進行役のサイキック/ミディアム(死者のメッセージを伝えられる人)・ゴードン・スミスが、ピート・バーンズと一緒に彼の半生を振り返り、壮絶な子供時代の体験を聞き出し、死んだ身内からのメッセージを伝えることによってセラピー(療法)的効果を得ようと試みた、ドキュメンタリー番組である。
つい先ほど見つけたのだが、あまりにも凄まじい話の内容に引っ張られて一気に最後まで見てしまった。


ピート・バーンズの生い立ちについては、Wikipediaのピート・バーンズの項にも詳しい。そちらもぜひご参考に。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%BA


ゴードン・スミスというミディアム(霊媒)、今まで知らなかった。
グラスゴーなまりの英語を話すスコットランドの方。元・床屋さんだそうだ。
動画を見る限り、「物凄い切れ味のリーディング!」っていう感じはしない。
でも、なんかこう、あったかくて、二人っきりで話しているだけで、凍りついた心が少しずつ溶けていくような、そんな魅力を持った人だな、との印象を受けた。
霊能者にありがちな儲け主義が前面に出てこない点も、好感が持てる。
床屋さんだった頃は、リーディングもお金を貰わずに引き受けていた、という。


なぜ、悪いことが起こってしまうのか?
ゴードン・スミス
ナチュラルスピリット
売り上げランキング: 217,056


霊的世界からの癒し
霊的世界からの癒し
posted with amazlet at 16.10.29
ゴードン・スミス
徳間書店
売り上げランキング: 219,547


ちなみに英語の原書は、みんな大好き☆なニューエイジ/スピリチュアル系書籍の大手出版社・ヘイハウス(Hay House)から出ていたりするんだな、これが。相変わらず、商売がお上手なようで...。






1から5まで見終わり、ただ、ただ、「悲しい...」という気持ちだけが残った。






内容を簡単にかいつまんでまとめると...


ピートの母親・エヴァは、ドイツ・ハイデルベルク出身のユダヤ系ドイツ人。
父方の血筋こそユダヤ系だが、貴族やそれに準ずる名門の家系であることを示すVonが付いた旧姓を名乗っていることからもわかるように、彼女は(ピート曰く)「貴族のお嬢さま育ち」の女性であった。
ちなみに、エヴァの父親で、ピートにとっては祖父であるヒューゴーはナチスに捕らえられ、強制収容所のガス室でその生涯を終えたという。
(ソース:https://web.archive.org/web/20150720092351/http://ponystep.com/features/issue-2-the-inimitable-mr-burns/


エヴァは、ナチス政権下でユダヤ系住民への迫害が激化していったのに伴い、隣国オーストリアへと逃れる。
そこで英国軍人だったピートの父親と出会い(まぁ、軍人さんと一般女性との合コンとか、お見合いパーティーみたいなシチュエーションでしょうね)、二人は結婚。
その後、夫婦は夫の出身地であるリバプールへと移り、所帯を構えた。


だが、戦後10年以上経ってもなお、イギリス国内では反ドイツ・嫌ドイツの風潮が根強く残っていた。
お嬢さん育ち、しかもドイツ時代には駆け出しの映画女優で、華やかなライフスタイルも一通り経験していたエヴァは、イングランド北部の単調な地方都市の暮らしにも、そして夫の家族や周囲の人たちにも、最後まで馴染むことはできなかった。
つのる一方の孤独感、そして深刻化する鬱状態から逃避するための手段として、彼女は次第にアルコールや薬物への依存度を高めてゆく。





番組前半部では「母親との関係は良好だった」「自分にはとてもいい母親だった」と、彼女のことを一生懸命持ち上げ、かばっていたピート。
母親は1987年に肺がんのため亡くなったが、最期の日々を少しでも長く家族一緒に過ごせるようにと、ロンドンに母の住まいを用意し、生活の面倒まで見たのはピートとリン夫人(当時)だった。
あのルックスからはとても想像できないが、実は彼、100点満点の親孝行息子だったのだ。
(残念ながらツアーに出ていたため、母親の死に目には会えなかったそうだが。)


本番組「サイキック・セラピー」では、生まれ故郷のリバプール近郊の小さな町を何十年ぶりかに再訪し、霊能力者のゴードンと語り合ううちに、長いこと厳重に封印されていた暗い記憶が徐々にほぐれていくピートの姿が記録されている。


ピートは語る。
幼かった頃の日々を振り返っても、なぜか浮かんでくるのは「冷や汗」の記憶ばかりだ、と。
外の世界とつながりを一切持たなかった母親は、一人二階の部屋に閉じこもり、酒に溺れ、家の中をめちゃくちゃに破壊し、薬物中毒で錯乱しては大きな奇声を発する、といったような惨憺たる状態に陥っていた。
鬱病もひどかったらしい。自殺未遂も何度もしている。
父親はそんな母親のことを完全に持て余していた。仕事に没頭し、深刻な危機状態にある彼女に向き合おうとしなかった。事実上の「放置」と言っていい。
だから、壊れていく母親を支え、そばで見守り、必要な世話をするという役割は、すべてピートが担っていた。
遊びたい盛りの少年にとって、これは余りにも過酷な仕事だ。よく耐えていたと思う。

前回の記事で取り上げた、ジェイン・オースティンの「エマ」とどこか重なるなぁ...。エマの場合は、認知症が進行している父親の親代わりをしていたけど。)




ガス自殺を企てた母親を、すんでのところでピートが発見し、ガラス窓を壊して助け出したこともあったという。
「あの時、子供なのにどうして適切な行動が取れたのかな。自分でも不思議なんだよね。」と彼は回想する。


母親がピートの目の前でリストカットをしたことも、一度や二度ではない、という。
大好きな母親の手首から真っ赤な血が噴き出す様子を目の当たりにしつつも、家には電話が無く、父や外部の人に助けを求めることもできなかった。
冷や汗で全身びっしょりになりながら、母親が繰り広げる地獄絵図をただ見つめているしかなかった。
哀れ、ピート少年...。


これがあの、華やかな歌とアクションでもって、1980年代に世界中の音楽ファンを沸かせたDead or Aliveの大スター・ピート・バーンズの少年時代の姿だなんて。
一体だれが想像できようか。


生き地獄のような日々は、彼が10代半ばで家を飛び出し、付き合っていた彼女(後の夫人・リン)の家へと逃げるまでの間、ずっと続いたのであった。





リン夫人とは2006年に20数年に及ぶ婚姻関係を解消したが、その後も互いを「ソウルメイト」と呼び合うほど仲は良かった。
何せ、彼の死の第一報となったツイートにも、元・デッド・オア・アライブのドラマーで、現・マネージャーのスティーヴ・コイと一緒に名を連ねているぐらいだから。





2007年、数年間の付き合いを経て、ピートはマイケル・シンプソン(上のツイートでも名前が挙がっている)という年下の男性と再婚。
ある日のこと、ピートはマイケルと口論していた。
かっとなったマイケルが、普段ならば決して言わないような一言を口走ってしまった。
「最低だよ、君の母親は。児童虐待の加害者じゃないか。キチガイそのものだよ。」
ピートの心の奥底を、巨大な岩のように塞いでいた何かが、この瞬間ぐらっと崩れた。


番組が終わりに近付いた頃、ピートはようやく今までとは違う調子で、少しずつ本音を語り始める。

「自分の子供を精神科の看護師や、救急隊員みたいに使うのは、良くない。間違っていると思う。」

「まだ、怒りの残りかすみたいなものが自分の中にある。
父親との間にも、母親との間にも、未解決の問題があり過ぎて。
...心理療法士のところにでも行ったらいいのかな。」


母親は既に他界して久しいが、存命中の父親とは長らく音信不通の状態が続いているようだ。

「去年、ようやく気付いた。 何もあんな育ち方をする必要は無かったよな、って。
もちろん、ああいう生い立ちがあったからこそ、今日の僕がある。それは事実。でも、ひょっとしたら、今よりもマシなバージョンの自分になれていたかもしれないな、って思うよ。」


R.I.P. ピート・バーンズ。
あなたは、壮絶な子供時代の体験から逃げたくって、自由になりたくって、自分の全てを書き換えたくって、そのためにずっともがき苦しんでいたんだね。
さぞかし辛かったことでしょう。


きっと彼はあまりにも優しすぎたのだろうな。
不幸から脱け出すための努力を放棄した上、子供が健全に育つ環境を整える気すらない。
それほどにまで弱くなってしまった、この世の地獄を生きる哀れな母親・エヴァに攻撃の矛先を向けるなんて残酷なこと、心優しいピートにはできるわけがなかった。
だって、その母親の励ましの言葉や、注目を心の支えに生きていたのが、他ならぬピート・バーンズ本人だったのだから。



で、行き場を失ってしまった怒りと敵意の処理方法として、彼は自分の顔を何度も何度も整形手術しては、傷めつける...という道を選んでしまった。
お母さんによく似た、きれいな顔を台無しにする、という、後戻りのできない道を。

~お気に入りの家族写真~
「隣にいるのは、僕のママの
Eva Mariah Bettina Quittner Von Hudec Burns。
この写真を撮った前日に、ママは肺がんと宣告された。
余命わずか4週間って言われたんだ。
僕は絶望のどん底に落とされた。
ちょうどその直前、マドンナの"Who's That Girl?"ツアーの
前座枠でやることが決まったんだけど、断るしかなかった。
だって、ママが...僕の一番の親友のママが
死の宣告を受けたというのに、ハッピーな歌なんて歌えるわけないだろう?
ママはその後体調が持ち直し、1年間生きられた。代替療法のおかげさ。
ママとパパが僕たちのすぐ近くで暮らせるよう、
ロンドンに家も買ったよ。

残されたわずかな時間を少しでも長くママと一緒に
過ごすことができて、本当に良かった。」



「ザ!世界仰天ニュース」でも取り上げられたんですね。


肉体という衣を脱ぎ捨て、もはや顔の美醜も何も一切関係無し!という世界へと移行できたピート・バーンズ。
きっと今頃は、「あ~、すっきりした。ようやく楽になれた~。」なんて、ほっと一息ついているところかも。
せめて次に地球に生まれ変わって来る時には、ごく普通の家庭の、ごく普通の両親を選んで、普通に平和な子供時代を楽しんでくださいね。


80年代音楽が大好きな私たちのために、カッコいい曲をたくさん残してくれてありがとう。聴けば必ず元気をもらえる曲ばかりでした。


さようなら。
優しく、たくましく、華々しく、57年のとびきりユニークな人生を最後まで見事に演じきったピート・バーンズ。
どうか安らかに休んでください。
あなたのこと、ずっと忘れません。



懐かしの「夜のヒットスタジオ」出演時の貴重な映像ですよ~。
日本語歌詞付き。ママが亡くなった後のピート、心なしか元気無いように見える。

13 件のコメント:

  1. 読んでて涙が出ました。
    整形前の美しいお顔ももちろん印象的だったのだけど、それ以上に、どんなにつらい時期でも目がきれいだったことが忘れられません。
    顔が変わり始めてからも、ステージ上の彼は時に神々しかった。
    晩年の、身体が辛かったであろう時期でも懸命に歌って、「僕のショウを見てくれてありがとう」。
    ずっときれいな目をしていたのは、魂がきれいだったのだと思います。
    亡くなるひと月ほど前の映像を見たのですが、一瞬ですが素顔を出していて、整形で荒れてはいるものの、澄んだ目が際立って、美しかったです。 化粧で隠すよりもずっと。
    毒舌も罵倒も整形も、数々のbizarreと呼ばれた振る舞いも、生き辛さゆえだったのかもしれません。
    今はただ、つらかったことがすべて癒されていることを祈るばかりです。
    私も、彼のことをずっと忘れません。
    あの世があるのかわからないけれど、彼のために心から祈ります。
    この記事をUPしてくださってありがとう。

    返信削除
    返信
    1. uniqueさん、心のこもったファンの方ならではのコメント、ありがとうございます。
      一人でも多くのピート・バーンズファンの方に読んでもらえたらうれしいなぁ、と、書きながら、そしてチョコチョコと加筆修正しながら、ずっと願っておりました。うれしいです。

      デッド・オア・アライブのCDを買ったことすらない、単なる80’s音楽好きの私ではありますが、今回はじめて彼の壮絶な人生を知り、激しく心を揺さぶられました。

      この一文は、まず何よりも、ピート・バーンズを愛し、応援していたファンの皆さんの悲しみに寄り添いたい、同じ80年代音楽を愛した者として、少しでも慰めとなりたい、との思いで書きました。
      あまりにも突然で、あまりにも悲しいお別れでしたからね。
      私も、今、突然グリーン(Scritti Politti)や、パディ・マクアルーン(Prefab Sprout)といった人達にもしものことがあったら...と、想像するだけで暗い気持ちになりますから。(だからどうかグリーンもパディもよぼよぼ、しわしわのおじいちゃんになるまで長生きして!頼むよ!)

      そしてもうひとつ。
      世間に広く出回ってしまっている、「整形中毒のキワモノタレント」という、一面的なピート像を少しでも打ち破りたい、という思いもありました。

      「違う!彼は、単なるキワモノタレントなんかじゃないよ!
      強く、哀しく、そして最後まで美しく生きた、尊い魂だったんだよ!」

      と声を大にして叫びたかったんです。
      私自身、長いこと「あららーどうしちゃったんでしょー」的な浅はかな評価をしていたので、世間を責めるつもりはないですがね。(知らなかったこととはいえ、今はピートに「上辺だけで判断していて、本当にごめんなさい」って謝れるものなら謝りたいです。)

      >>>整形前の美しいお顔ももちろん印象的だったのだけど、
      それ以上に、どんなにつらい時期でも目がきれいだったことが忘れられません。
      顔が変わり始めてからも、ステージ上の彼は時に神々しかった。
      晩年の、身体が辛かったであろう時期でも懸命に歌って、「僕のショウを見てくれてありがとう」。
      ずっときれいな目をしていたのは、魂がきれいだったのだと思います。

      ピート・バーンズの強さ、そして、人目をひく外見の裏にある清らかな魂。
      ファンの方は、やはり全てを見通していらっしゃったのですね。

      彼が亡くなって、YouTubeの動画コメント欄で印象的だったのが、

      「ピートがいてくれたから、僕/私は本来の自分を堂々と表に出す勇気を持てた。
      ありがとう。」

      といった類の感謝の言葉でした。しかも、本当に数多くの人から。
      どんなに外見が変わろうが、どんなに毒舌吐こうが、彼の「常に自分に正直であれ。堂々と自分を表現しろ。」というメッセージは、
      必要な人の心ににちゃんと届いていたのですね。そして、多くの人の人生にポジティブな変化を起こしたのでしょう。
      これは彼の功績として、もっと語り継がれてしかるべきでしょう。
      そんじょそこらの「スピリチュアル・リーダー」(陰でガッポリ金儲け♡)なんかより、よっぽど価値ある仕事をしてきた...って思いますけどねぇ。

      長くなるので二つに分けます...。

      削除
  2. uniqueさんへのお返事、続けます。

    >>>毒舌も罵倒も整形も、数々のbizarreと呼ばれた振る舞いも、生き辛さゆえだったのかもしれません。

    同感です。おっしゃる通り、すべてのトラブルが生き辛さとかかわっているように思えます。

    彼がインタビューの中で、ポロッと"I'm German..."と漏らした時、「おやっ」と驚きましたね。そうか、ピート・バーンズの中では「自分はドイツ人」なんだ...って。Englishは二の次か、って。
    (以下、uniqueさんはご存知の事実も多々あると思うのですが、知らない読者の方々のために書くことをお許しください)
    何でも、彼の小さい頃、学校に行き始めるまでの7歳になるまでは、家の中の会話はお母さんに合わせてほとんどがドイツ語、時々片言のフランス語、だったそうです。
    学校に上がるまでは英語はほとんどできなかった、って彼は言ってました。これって、子供にとっては結構なストレスですよね。
    ご承知の通り、成長してからは立派なリヴァプールアクセントで早口英語をしゃべるようになりますけど(笑)。

    そうした人生初期に数々の困難を抱えてはいましたが、最後の最後までお母さんに尽くすなど、本来の彼はどこまでも優しい人なんでしょう。
    でなきゃ、離婚後もリンさんとずっと仲良しでなんていられませんよね。

    とはいえ、世間の荒波と戦っていくには、どんなに優しい人だって多少の毒だって吐かないとやってられませんよ。でないと自家中毒でいずれ自分がやられます。
    ゴードン・スミスとの会話でピート自身が語っているように、早い時期からしかるべき心の専門家にでも診てもらっていれば、もっと別の対処法が取れたのではないかな...と。
    今悔やんでも仕方がないですけど。

    あんなに我慢して、我慢して、自分が泣きたいのにそれを必死に封印してお母さんのことを守ってきた少年ピート。
    心の中には相当量の毒/敵意/攻撃性が蓄積していったと思うんですよ。
    大人になって、そういう蓄積毒を発散するにあたり、果たしてピートが常にベストな時と場合を選んでいたか?
    ...残念ながら、そうではなかったようです。
    やっちゃいけないところで人を攻撃する、言っちゃいけないところで毒ある発言をしてしまう。
    そういう場面をキャッチした人が、「ピート・バーンズってこんなにひどい人!」と、面白おかしくネガティブキャンペーン(ネガキャン)をやり、ますます彼のイメージが独り歩きしてしまう...ってこともあったのではないかな、って思います。
    だって、故・ダイアナ妃にあれほど言いたい放題言ってた英国芸能マスメディアですからね。相当の悪意はあったと思います。

    亡くなる数か月前まで腎臓結石で4ヶ月程入院生活を送っていたそうなので、貯金も底をついてしまったのかもしれません。
    弱音を吐きたいことも、生活苦を嘆きたいこともあったでしょうに。本当に最後まで見事に「ピート・バーンズ」を貫きました。

    しかし、そんなピートの母親にしても、よく考えれば「時代の犠牲者」みたいな人ではあるんですよね。
    ドイツで恵まれた少女時代を過ごし、父親が映画関係者(マレーネ・ディートリッヒの映画制作にも関わっていたのですって。)で、自分も若くてきれいだった頃に華やかなショウビズの世界も経験。にも関わらず、ナチスから逃れるために一家が離散。ユダヤ系の父親はガス室送りに。
    彼女は無事生き延びたものの、結婚後に暮らしたイギリスの田舎町はどこまでも彼女に冷たく、生き地獄のような日々が続く。

    ...戦争さえ無ければ、
    戦争で、無差別に人が人を殺しまくるという悲劇さえなければ、
    ピートのお母さんだってこんな生き地獄を味わわずに済んだかもしれません。

    当事者たちだけでなく、次の世代、二世代先にまで、じわじわと消し難い悪影響を及ぼすのが戦争。
    私たちは、こうした有名人の哀しい人生、哀しい生と死のドラマから学ばなきゃいけないな、と、思います。

    長々と失礼しました。
    uniqueさん、こちらこそ、書き込んでくださって本当にありがとうございました。
    ピートが安らかに眠れるよう、私も祈り続けたいと思います。

    返信削除
  3. 返信をありがとうございます。
    私の大好きな大好きな大好きなピートを褒めてくださってありがとう!

    色々思うことがあり過ぎて、うまく伝えられるかわかりませんが、鬱陶しく痛々しく語ることをどうかお許し下さい。 長いです。
    私は世代的にピートよりは随分後なので(でももう中年)、ピートは長らく私のなかで「昔流行った曲だけど、改めて聞いてみたらいいじゃん。この声大好き!」の人であり、「元々きれいな顔だったのに何を目指しているんだろう、、、」であり、顔面崩壊後のセレブリティビッグブラザーズのあたり(私はこの頃字幕翻訳通訳が要らない英語力になりました)では、「ひっどい毒舌で怖いけど目が綺麗」。 番組の中でスピンミーを歌ったシーンを見て、過去の豊かな声量と表現力が重なり、気付けば彼個人を好きになっていました。 以降、どれほど容色が衰え、世間が彼を扱き下ろすようになっても、彼は私の目には「美しいピート」と映るようになります。 こんなこと を言う私を 「病的だ」と思う人もきっと居るでしょうけれども、「高級スーツを着た美しいビジネスパーソンがモンスターにしか見えない」という経験はきっと多くの人が持っているものだと思います。 
    近年、きれいなピートがキワモノ扱いされていることには違和感を禁じ得ませんでした。 それがピートの生業なら、可哀相とは思わない。 けれど何故ひとはこのきれいなピートをこんな風に扱うのだろう?と。 

    ここからは、私のざっくりした仮説というか推測を大幅に交えてありますが、、、

    ピートの整形は、仰る通り、母似の顔を壊したいから。
    そして、加齢を怖れていたからでもありました。
    彼の幼少期の主な不幸は二つ。
    アル中の母親の世話をさせられながら、同時に強い母子癒着の状態にもあったこと。
    もう一つはピートが13歳の時、中年男性によるレイプの被害にあったことです。
    母の世話に金が必要だったこともあり、加害者と援助交際のような関係に陥ります。
    更に悪いことには、援助交際は親や教師の知るところとなり、今で言うセカンドレイプ的な暴言を受けたのです(先に書きましたが推測です。 ですが断言してもいいです)。
    母親の顔立ちは嫌なのに、自身の顔立ちの男性的なところを嫌い、女顔を目指して行った理由はこれです。
    加齢によって、成人男性の顔が鏡に映ることも無意識に怖れたのかもしれません。

    さて、悲惨な経験と、貧乏で教育をロクに受けていないこと(階級社会のイギリスでは遠慮会釈無く下に見られるでしょう)にも関わらず、ピートは生来の頭の回転の速さ、あの声、音楽的センスでもって、メジャーな存在になります。 ところが、彼の「ゲイ的な演出」はどんどん過剰になって行きます。 演出だけでなく、もちろん実生活でも様々な男性と関係を持ちます。 たぶん、彼はnatural born gayでは無かったと思います(ゲイだったとしても、彼に対する評価と愛着は何一つ変わりません)が、レイプで傷ついた自分を認めたくなくて、「僕は男と寝るのも好きだ、何が悪い」(悪くないけどさ)とばかりに、色んな人と関係を持ちます。 誇り高いピートバーンズは、自らを哀れむのは大嫌いなのです。
    事実男性と寝まくったというのはともかく、ライブ、CDジャケット、PVの露出も、絡みも、かなりお下劣になって行きました。 当時麗しかったピートは完全にとびっきり可愛いオネエだし。 そのせいでド保守なイギリスのレコード会社とトラブルを抱えます。 頭が良くて気の強いピートのことですから、業界の慣習を無視したり、若さもあって大胆なこともしたんでしょう。 大手に嫌われて人気には陰りが見え始めます。 前後しますが、ライブで怪我を負った鼻の整形をやむを得ず受けたことから、彼は整形で外見を磨くと言うアイディアを得ます。 もっと美形になれば売れるという妄想に捕われ始め、歯を矯正し鼻を細くし、いわゆる細面の貴公子のような顔が完成します。 その顔は母親に瓜二つでした。 もともと目元は似ていたのだから当然。 だいたいこのあたりで、母親は余命宣告を受け、1年後に他界して しまいま した。 

    母の死亡をもって、ピートは壊れます。 Breaking hearts never make a noiseと彼自身が歌っているように、静かに壊れました。
    この後の整形はただの自傷行為です。
    怒りの矛先を母親に向けられなかった代わりに、母とよく似た顔を壊すのです。

    不必要な整形を止められる人は、彼の周りにいませんでした。 どう考えても精神科医を必要としていたはずですが、妻のリンや愛人兼ドラマーのスティーブには大人としての知識も常識もピートを言い負かせる力も備わっていませんでした。 ピートの周辺人物は、ピート同様教育機会に恵まれていない人が圧倒的に多かったはずです。 個々では力を持たない人々が、同じ出自なのに異質な個体である大将・ピートにくっついていただけ。 社会の下の方から伸し上がった人物は多くの場合、人生のどっかの時点で、無能な奴をぶった切るもん(糟糠の妻を捨てたりとか)ですが、ピートはそんなことしません。 ピートにとって、愛や友情を注ぐ相手が金を持ってるかとか賢いかとか使えるかというのはどうでも良いことなのです。 寂しさを癒し彼に愛着を示し、彼の大好きなファッションの話しに付き合ってくれたりごはんを作ってくれたらそれで満足。 

    整形は無駄に加速し、どんどん元の美貌から離れて行き、それに伴って音楽活動はすっかり迷走します。 まあ、精神状態が悪い方に悪い方に行っているのだから、良い曲が書けるはずも無い。 自分でも薄々と危機感を抱きつつ、素晴らしく回転の速い頭は、自傷行為に非ずという言い訳を次々に思いつきます。 周囲の人間と、ピート自身を騙すために。
    (続きます)

    返信削除
  4. (続きです)
    マイケルとの出会い、リンとの離婚と、整形失敗事件は雪崩のようにやってきます。
    死にかけて、全身の健康を損なって、顔面は崩壊して、2年かけてやっと死地を脱すると、今度は経済危機。
    治療のために自宅も著作権も手放し、ほぼ一文無しです。
    そこでピートは、壊れた顔と身体に鞭打って、稼ぎに行きます。 
    なぜでしょうか、彼の人生には、彼を養い守る者は現れないのです。
    家を売った際に、ピートは約五千万円ほどをリンに渡しています。 離婚の財産分与なのでしょうけれど、財産の出所は当然ピートの稼ぎですし、生きるか死ぬかの時です。 マイケルに至っては、この回復期のピートのパートナーだったわけですから、ピートを働かせずに自分で働きに行ってあげるくらいの気概があっても良かったのに。 
    マイケルは、かなりグロい状態になったピートの世話は献身的にしてくれたし、インタビューを見る限り良い人そうです。 でも深く考えずにピートのお金を浪費しちゃう。 リンもマイケルも、いつだってオシャレで高級なお洋服に身を包んでいます。 この二人に限らず、若い頃のピートには他にもぞろぞろ恋人やら愛人が居たわけで、えらいことに無駄金を遣って生きたに違いありません。
    あらゆる常識の欠落したピートですが、「稼いで来る!」という一点に於いては非常に男前なわけです。 


    毒舌オカマタレントとして奇跡の復活を遂げたピートですが、年月とともに外見のメンテナンスが追いつかなくなって行きます。
    一度完全に崩壊した顔を、ビッグブラザーのために無理なお直しを重ねていただけなのですから、無理もない。 加齢もあるし、全身の不調もあるし、体重増加もあって、容姿は年々崩れて行きます。 そうすると収入も減って行き、メンテナンス費用は失くなり、悪循環です。 こうなってしまっては、化粧を落として、普通のオジさんを目指せば、まだ全然見れたと私は思うのですが、そこはピート。 そんなことはしない。 堂々と、素晴らしく上手なメイクをして、仕事ある限りマイクを握り、懸命に歌いました。 身体が辛いのに。 どんなに心無い酷いことを言われても、キワモノとして扱われようとも、ピートは自らを哀れむことは決してしません。 「自己満足の ために整形をしてこうなった」と自己分析し、誰を責めることもしなかった。 親や周囲の大人を責めることも無く、彼を止めなかった身近な人々に怒りをぶつけることなく、彼の金を浪費した夫に憤ることもせず。

    強くて男前なピートは、繊細でもありました。
    外見を正面から貶されれば堂々と言い返していましたが、劣化した容貌に深く傷ついていました。
    音楽への情熱も才能も燻ったまま、かつてのステージの輝きを夢に見たまま。
    これほど残酷なこともそう無いだろうと思うのに、絶対にひとのせいになんかしなかった。
    現実逃避もしなかった。
    最後のインタビューで、死ぬのはlovely feelingだよと。 
    彼は死にかけたことがあるからと言ったけれども。

    私はピートが死んで悲しくて仕方が無いけれども、よぼよぼのおじいちゃんになるまで生きていて、とも思えなかったのです。
    プリファブもスクリッティも、後から紐解いた(私の年代的に、マニックスから入ったくらいで)くらいにしか知らなくて申し訳ないのですが、パディやグリーンに、いつまでも居て!いるだけでもいいから居て!って気持ちを抱かれるのはわかる気がします。 知ったようなことを言ってごめんなさい。

    でも、ピートは。
    まだこの世に居て欲しかったけれど。
    良い日を過ごせるものなら過ごして欲しかったけど。

    上に書いたことについては、証拠があるわけでない、私の推測、もしかしたら妄想です。
    彼の人生がどんなものだったのかと、楽曲をどう思うかには直接の関係はありません。
    私は何も知らないときから、彼の歌声が、彼の音源が大好きです。
    彼の目も。 私にはとてもきれいに見える。
    それでも彼の人生についてこんなに長々と書いてしまったのは、世間であんまり酷く言われていて、それが辛かったからです。
    この困難な人生でも、これほど輝いたピートは本当に強い人でしょう?と言いたかった。

    こちらで、ピートのことを取り上げてくださっていたのが嬉しくて、こんなに長々と甘えてしまいました。
    どうか、お許し下さい。

    生前の彼がどんな酷いことを言っていても、どんなことをしたとしても、彼の容貌のいつの瞬間でも、私はピートが大好き。
    時空を超えて飛んで行って過去の彼を助けたいくらいですが、それは叶わないので、今は祈っています。
    「天に召される時、神が僕のことを誰だかわからないと良いな」と言っていたので、彼が彼の信じる神の前に出る時に、彼の望む容貌になって、生前の全てを赦されて、彼の人生と音楽が誉め称えられますように、と。

    本当にありがとうございました。
    書くことで救われました。

    返信削除
  5. uniqueさん、

    私が知らないピート・バーンズの歴史を、非常に説得力ある筆致で埋めてくださってありがとうございました。
    「ピート・バーンズ 生い立ち」といったキーワードで検索し、このページにたどり着く方はこれからも増えていくと思いますが、そうした方々にとって大変参考となる、重要な情報をたくさん提供していただきました。鬱陶しく、だなんてとんでもない。そんな風に思わないでください。
    本当に好きなアーティストがこの世からいなくなってしまった...って、それこそ"Breaking hearts never make a noises" (心は音を立てずに静かに壊れる←意訳ですが)って感じで、音楽に興味の無い周囲の人々には言ったって仕方がない、だから一人心を閉ざしてその悲しみが癒えるまで待つしかない...のではないでしょうか。
    この歌からの歌詞だったのですね。

    http://youtu.be/02f15y-BNO8

    uniqueさんが補ってくださった彼の生い立ち部分も、これまた壮絶過ぎて、やわな精神の持ち主だったらもうとっくに5回ぐらい自らをあの世に送ってそうですね...。

    おっしゃる通り、私が彼の人生で一番心打たれたのも、「〇〇が悪い」「誰々のせいだ」という言葉をとことんこらえて、自分で全ての責任を引き受けた魂の強靭さ、でした。(uniqueさんの「男前」という表現。そう、そう、それですよ!稼ぎだけじゃなく、すべてにおいて!)

    ゴードン・スミスにポロッと漏らした、母親が自分を精神科の看護師やら救急隊員みたいに使ったのは間違いであった、というつぶやき、あれは「母親を責める言葉」じゃないですよね。
    数十年経ってようやく目が開かれた「事実」を冷静に述べただけ、だと思います。
    ゴードンと話しているうちに、そして、長いこと避けていた生家"hell house" (ピート曰く)へ戻ったことで、本来は賢い彼のこと、独力で導き出してきたに違いありません。
    その洞察を一瞬で終わらせないで、もっと長期間にわたって深めていれば...なんて、今言ってみたところで始まりませんが。

    ほんと、おっしゃる通り、ピートに必要なのはそうした「事実」を、ピートや、周囲の人々(悪い人々には見えないものの、確かに学は無さそうでしたね...。)が見ているよりも、一段二段高い視点から見られる人、でした。
    「こういう見方もあるよ。そう考えると、あなたが苦しいのにも説明がつくんじゃないかな?」と、賢くアドバイスしてくれるような人がいれば。

    返信削除
  6. uniqueさんが引用された、「天に召される時...」の言葉を聞くことができる、ピート・バーンズ追悼特番。最後のテレビインタビューです。
    https://youtu.be/IPFFVOw2i94

    返信削除
  7. お返事、続きます。(音楽話だと、私もついつい嬉しくなってしゃべり過ぎます。)

    そうですね、好きなアーティストがよぼよぼのおじいちゃんになるまで生きるのが幸せかどうか...っていうのは、「人による」としか言えませんよね。o(^-^)o
    ピート・バーンズの場合は、この57歳という時期に地上を去るのが、きっとベストだったのでしょう。(CDボックスセットの発売を目前にして、というのが泣けます...。著作権がもうピートのものではないとしたら、売れた分のお金は一体誰のものになるのでしょうね。)

    私が好きなグリーン(Scritti Politti)とパディ(Prefab Sprout)には、やはりもう少し生きていてもらいたいですね。ファンのわがままであることは百も承知ですが。
    前者は急に全世界でバカ売れしたことで、ただでさえ打たれ弱い(ごめんね、グリーン。)メンタルがやられ、パニック障害(当時は「舞台恐怖症」と言われました)で、長いこと引きこもりに。現在では、バンドと共に元気にライブ活動を展開中。80年代の、テツガク用語で武装した頭でっかちの彼を知る人にとっては、嘘みたいな展開ですよ。でも、楽しそうにやってるみたいです。結婚して、良き伴侶を得たのが良かったのかもしれません。

    で、後者はと言いますと、過去記事でもちょっと触れたのですが、網膜剥離のため、今はほぼ全盲の状態。しかも聴力も失ってしまった、とのこと。
    天才音楽家がなぜこんな目に...と、ファンの心は痛みますが、パディは一般人女性と結婚し、お子さんも3人いるとのこと。元々聖職者を志望していたこともあり、とても宗教的な人なんですよ。だから、こんな試練の中でも、必ずや何らかの答えを求めて、日々格闘しているはずです。そんな彼には「いろいろあったけど、いい人生だった」と最期に力強く言えるだけの、ちょうどいい長さの寿命を彼に与えて欲しい、と思わずにはいられないのです。...できれば、長めに。

    マニック・ストリート・プリーチャーも、メンバーが一人失踪してしまいましたよね。
    私がイギリスに(一年弱ですが)住んだ時、ちょうど"Design for Life"がヒットしていました。

    それにしても、uniqueさんのお話の中で、「教育の欠如」「出身階級からくるハンデ」は、日本のファンにはなかなか伝わりにくいですが、実はすんごく大きな問題ですよ。
    常日頃からそう感じていました。

    色々なミュージシャンの人生を眺めてきて、「ある程度教育のある人は、途中でトラブル起こしても学習能力があるし、必要な助けを求められるだけの頭や、人脈もあるので、比較的立ち直りやすい」と、常々思っていました。

    例えば、同じ80年代にバカ売れしたWham!のジョージ・マイケル。
    あんなに才能がありながら、一度道を踏み外したら止まらなくなってしまいましたよね。彼もまた、典型的な「ワーキングクラス出身で、金無し・コネ無し・教育無し」だった人。
    売れて、金が入って、周りにおかしな人ばっかりが集まって来ても、食い止められなかったのかもしれません。取り巻きがおかしな人ばかりになると、まともなアドバイスをする人も近付き難くなってしまいますもんね。
    その辺り、ピート・バーンズの人生と重なるものがあるような気がします。

    かたや、あんなおバカっぽいイメージ(笑)で売ってるものの、実はサセックス大学に一応入り、高等教育を経験しているビリー・アイドル。それから、ちょっと世代は上になりますが、ロンドン・スクール・オブ・エコノミックス中退のミック・ジャガーとか、一見ハチャメチャやっているようでいて、実はしっかりと「ロックスター」としてのビジネス展開を考えている人々が、います。
    あ、クイーンやブラーなんかも、そして、レイディオヘッドも後者のグループでしょう。「ミドルクラスの坊ちゃん芸」と、心無い人々によく叩かれますもんね。特にクイーンに対する、音楽ジャーナリスト(労働者階級出身者が大部分)からのバッシングはすごかった、と聞きます。
    だからこそ、彼らは日本が大好きだったのですね。偏見無しに、心から応援してくれる、って。

    これの変種(って言っていいのかな)が、かつて"Smash Hits"の編集者だったペット・ショップ・ボーイズのニール・テナントや、その他の「音楽ジャーナリズムのグロい内情を全部知っている人々」。大ブレイクした後のペット・ショップ・ボーイズって、アンドロイドというか、ロボットというか、とことん「人間臭さ」を排除して、妬み・ツッコミが入らないよう、うま~くイメージ操作をやっているなぁ、って印象があります。ニール・テナントが全て「見てきた」からこそ、上手に自衛策をとっているんだろうな...って、常々感じてきました。

    ピート・バーンズが歩んだ人生。
    いろいろな問題を投げかけてくれていますね。階層間格差が大きくなっていく日本人にとっても、彼の人生を振り返り、考えてみることは無意味ではない、と思います。

    誇り高く、強く、美しい魂の持ち主である彼が、これ以上口さがない人々からの不当な扱いを受けることがないよう、私も心から祈っています。

    >>>以降、どれほど容色が衰え、世間が彼を扱き下ろすようになっても、彼は私の目には「美しいピート」と映るようになります。 こんなこと を言う私を 「病的だ」と思う人もきっと居るでしょうけれども、「高級スーツを着た美しいビジネスパーソンがモンスターにしか見えない」という経験はきっと多くの人が持っているものだと思います。<<<

    病的なんかじゃないですよ。そう言えるuniqueさんの視点は素晴らしいです。
    皮一枚の、その奥に手つかずで残っている魂の美しさを見抜けるようになることって、人間誰もがいずれはマスターすべき、大切な資質じゃないでしょうか。
    いくら見かけばかりごまかしてみたところで、死ぬ瞬間、人に残されるのは頭の中身、そして心しかないんだ...って、ホロコーストを生き延びたピーター・フランクル(数学者)さんのお父さんがいつも言っていたそうです。

    私も高級スーツのモンスターは勘弁です(笑)。半径5メートルに入らないで欲しい。

    返信削除
    返信
    1. Manic Street Preachers...複数形でした。すみません。

      削除
  8. uniqueさんと私の書いた文章を読み、ピート・バーンズに興味をお持ちになった方のために、テレビ番組ではない、ボリュームたっぷりの「最後のインタビュー」(英語)、リンクを載せておきます。
    彼の潔い人柄、そして賢さがよく表れている良い対話となっていました。ご興味のある方、ぜひどうぞ。

    http://www.superdeluxeedition.com/interview/pete-burns-tribute-the-last-interview/

    返信削除
  9. もう一回だけ、uniqueさんへ。(こちらこそしつこくてすみません。)
    先の返信コメント、大急ぎで書いたので、単語や表現の重複など、お見苦しい点が目立ちますね。乱文、どうかご容赦ください。

    uniqueさんの

    >>>生前の彼がどんな酷いことを言っていても、どんなことをしたとしても、彼の容貌のいつの瞬間でも、私はピートが大好き。
    時空を超えて飛んで行って過去の彼を助けたいくらいですが、それは叶わないので、今は祈っています。<<<

    (...お気持ち、痛いほどわかります。こちらも、読んでいて切ないです...。)

    その祈り、絶対ピートの元に届いていますよ。間違いなく。
    そして、生前会うチャンスが無かった(と、勝手に仮定しますが)uniqueさんのような熱心なファンからの、まっすくで、純粋で、とびっきり大きな愛を、しっかりと受け止めてくれていますよ。もう地理的・時間的・物理的障害が無い世界へと移動したんですもの。ピートは。

    それで彼の心の空洞を完全に埋められるかどうかは、ピートご本人にしかわからないでしょうけど。
    でも、嘘偽りのないファンからの熱い思いを知れば、そしてそういうファンが世界中にたくさんいて、彼のことを応援していた、と知れば、彼だってきっと喜んでくれるはず。
    そう信じています。

    私は霊能者でも何でもないです。
    ただの「あやすぃい本好き」な奴ですが、これまでに「死後の世界」やら、「魂の行方」やら、その類の本(いわゆる「スピ系」も、そうでない本も。)を読み過ぎってほど読んできました。
    (結局、ゴードンのKindle本も一冊買ってしまいまいたよ...笑。)

    ゴードン・スミス(霊媒=ミディアム)がピートに伝えたかったのも、まさにそこだと思うんですよね。
    【死者はいつも残された人のことを思い、働きかけている。でも、逆もまた、真なり。】って。
    魂の世界と地上世界の交流が単なる一方通行だけ、っていうのはおかしいですよ。
    実は、双方向通行なんですよね。みんな勝手に「通行不可」って思いこんでいるけれど。

    ピートの母親は、ゴードンを通じて「自分の行動に責任を取ることがいかに大切かを、ようやく学び始めている。」というメッセージを送ってきていましたよね。
    人は死んでからもなおも成長し続ける...。ゴードンは、ピートにも、視聴者にも、そう伝えたかったようです。

    ファンの人々が心からの祈りと、愛とを送り続ければ、あの世へと渡ったピートだってきっと心安らぐのではないでしょうか。現世での、しんどかった長旅の疲れが、少しでも早く癒えるのではないでしょうか。

    uniqueさん、こちらこそ本当にありがとうございました。
    私も、ピート・バーンズについてはもう少し書きたいことがあったので、コメントの返事にかこつけて(便乗商法?)長々と書いてしまいました。
    「書くことで救われる」。
    おっしゃる通りです。
    大ファンでも何でもない私ですら、衝撃から立ち直るためには、こうやっていろいろ書く必要がありました。

    どうか、悲しみをゆっくりと癒されますように。
    気が向いたらまた遊びにいらしてくださいね。
    そして、気軽にコメント欄に書き込んでいってください。

    返信削除
  10. 桂子さん(と、お呼びしても良いのでしょうか?)

    PC越しのstrangerである私に、たくさんの優しい言葉を尽くしてくださってありがとうございます。
    お礼だけでも早く申し上げなくてはと思っていたのに、普段は触れない英メディアを漁ってしまい、ピートの受けた社会毒を追体験したような気になって、数日心が死んでました。 仕事と家庭はAutomatonになりきって回しましたが。
    階級と教育の問題は実に深刻です。
    仰る通り、教育程度がより高く、周囲に常識が備わっていた人ほどトラブルになっても立ち直り易いですし、芸術家として大成し易いです。 パディのように、健康を損なってしまうのは不運なことですが、受けて来た教育と常識的な家族は、心の平安を取り戻し精神的な高みを目指すことを助けてくれるでしょう。 何かの境地に達するとすればそれは紛れも無い芸術ですから、ご本人の心が救われれば良いのですけれど。
    亡くなった大御所David Bowieは、労働者階級出身ながら、彼のアーティストになりたいと言う夢を心から応援してくれた父親に恵まれていました。 女装バイセクシャルドラッグ犯罪歴と一通り嗜んだ(無節操一代男なので全部「試みた」)彼がI've got gameと宣言し完璧な終幕を演出出来たのは容姿と才能を制御し得る精神を子供の頃に培ったからと思います。 
    知識と教養、愛情は生きて行く上での鎧であり、剣です。
    ピートなんて、徒手空拳どころか真っ裸で全身から流血してるのに、社会は彼に石を打つけるばかり。 
    蓄積された様々な毒で、彼は向けられる愛情を正しく受け止めることも出来なくなっていました。 ファンからの(他人であるがゆえの)真っ直ぐな愛情も。 あれだけの悪意(本当に尋常でなく、トラウマを抉るような酷いことを、公に投げかけられたりもしていました)を無数の他人から向けられたら、おかしくもなろうってものです。
    I want you loveって歌ってた彼がああいう風に終わったことは、受け止めきれないほど辛くて、スピリチャルなものに助けて欲しいと本気で思います。 同じ時代を生きていたのに、会いに行こうとは思わなくて。 今こんなに嘆くなら、もっと早く助けようとすれば良かったのに。
    ただのファンかつ他者にそんなに思い入れたりしないタイプの私が、彼の死に限っては受け流せないというのも、何かしら意味があることなのかもしれません。
    私こそ、社会の下の方の階層に対して冷淡な目を向けている側の人間なのですから。 ピートの強い心には敬意と愛着を抱いていますが、周辺人物には全く。 彼らが恵まれていなかったことは確かなのに、弱さには落胆しか覚えません。 彼らを批判する言葉を抑えているのは、ピートがそれを喜ばないだろうと思うからで、通常モードの私ならたぶん罵倒しています。。。
    あやしい系の記事も、それ以外の記事も、ぜひじっくりと読ませてください。
    私もゴードンの本買いそうです。
    本当にありがとうございました。

    返信削除
    返信
    1. uniqueさん、
      そうですか...。英国メディアではやはり煽るような書き方で故人を鞭打つような記事が多いのですね。心中お察しいたします。
      (マスコミ嫌い、ジャーナリズム嫌いのミュージシャンが多いのもわかるような気がします。)

      そういえば、David Bowieも、いろいろな面において先駆け的な人でした。
      確かに何でもやってきましたね~、彼は。ワーキングクラス出身とは知りませんでした。晩年は奥さんのImanと素敵な家庭を築いていたという印象があります。NYCに住みながら、現代風の英国紳士を地で行ってましたよね。

      どんな人に恵まれ、どんな人に付きまとわれるか。
      人生って、つくづく人との縁に左右されるのだなぁ、と、改めて思わざるを得ません。

      ピートについて、YouTubeのコメント欄で書いていた人がいました。
      アメリカ(テキサス州のダラスかどっかだったかな。)ツアー中、楽屋付近でライブを終えて出てきたピートを見かけたその人が、"Pete! I love you!"って叫んだところ、「お前に"LOVE"の何がわかるっていうんだ、このアメ公が!」(原文忘れたので、意訳ですが)ってな感じで、予想外の激辛反応が返ってきてしまった、と。(虫の居所が悪かったのかな。)

      ...これ、ロックスターがよくやるような「偽悪」的な発言とも取れなくもないですがね。
      でも、不意打ちを食らって、案外ポロッと本音が出てしまったのかもしれません。
      愛が欲しい、でも、誰からでもOKというわけじゃない...。
      棘のある口調の背後の彼が、本当はどんな心理状態にあったのか。
      考えるとなんだか切なくなります。
      なまじっか有名になってしまったことで、愛の顔して近寄って来ては彼を利用したり、騙そうとするような腹黒連中をあまりにも多く見過ぎてしまったのかも...。
      ただでさえ人間不信になるだけの条件が揃ってましたからね、彼の場合。


      アーティストだろうが、遠い世界に住む有名人だろうが、本当に好きな人は好きな人。
      会社の隣の課のAさんや、大学のゼミで一学年後輩だったB君と、一体何が違うというのでしょう。全く同じですよ!!!
      (だって、Aさんにしたって、Bさんにしたって、よほど親しくならない限りはその人たちのいい所だけ、表面的な顔だけ見ているわけですよね?
      そもそも、その人が語る言葉や才能に惚れ込むわれわれのような人種にとっては、物理的な距離の遠近なんて全然関係無いです。全く惚れ込む要素の無い人なら、リアル人生で百万回会おうが、手つなごうが、絶対何も起こりませんから。)


      たとえリアル人生で一度も対面したことがなくっても、大好きな人が突然この世からいなくなってしまったのです。
      そうそう早く、あっさりと乗り越えていかれるものではないと思います。
      立ち直りはゆっくり、じっくり...でいいのではないでしょうか。

      こちらこそ、何度も書き込んでくださってありがとうございました。
      uniqueさんのピート・バーンズを愛し、応援し、守りたいと思っていたその真摯さに私も深く感銘を受けました。
      あちらの世界のピートにも絶対伝わっていますよ。心から直接放たれるエネルギーは、人間の言葉と違って嘘をつかないですもん。
      (ゴードンの本、買ったはいいのですが、まだパラパラ読みしかしてないんです。私もちゃんと読みます!)

      削除