2014/03/26

【トモダチ詐欺】に気をつけろ。〜TVドラマ「三匹のおっさん」より。【前編】

【※ネタバレ注意!】

テレビ東京系で1月から3月中旬まで放映された、「三匹のおっさん」(全8回)。







久々に「次回が楽しみ!」と言えるドラマでした。
古きよき勧善懲悪の時代劇の伝統が現代に甦る、ってね。
主演の北大路欣也さん、毎回さすが!の華麗なる竹刀さばきでした。
泉谷しげるさんも、喧嘩っ早いけど憎めない愛すべきおじさんを好演されていました。
そして、頭脳派・ノリさん役の志賀廣太郎さん。素敵なお声と、必殺技の「エレクトリカルアタック」を使う時の嬉々とした表情、毎回楽しませていただきました。
早く続編やらないかなぁ。


「三匹のおっさん」番組HP
http://www.tv-tokyo.co.jp/3biki.ossan/

DVD-BOXの発売も決定しているようです。

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有川浩さんの人気小説が原作とあって話がしっかりとしている上、俳優さん達も皆さん芸達者揃い。安心して見られました。
(中田喜子さんと藤田弓子さんの共演、往年のNHK水曜夜7時半・「連想ゲーム」つながりで懐かしかったです。






で、つい注文しちゃいましたよ、このソフト...。)


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普段ドラマは見ない私が、小学生の子供と一緒に楽しめた、大変秀逸なファミリー向けドラマでした。
ごくわずかながら親としては冷や汗モノ、って場面はありましたけどね...。

(時代劇「三匹が斬る」の21世紀版とでも言いましょうか。)

私自身、特に「うまいな〜、この話の描き方!」とうなってしまったのは、


第6話・「最強の敵...おばはん登場!?」


今回、トラブルに巻き込まれたのは、キヨさん(北大路欣也/以下、敬称略)の息子の妻・貴子(西田尚美)。
おっとりタイプで、ちょっと世間知らずな専業主婦の彼女が、姑(中田喜子)の挑発に乗ってしまい(?)、近所の商店街の精肉店でパートを始めます。


ペースの速い仕事になかなかついていけず、上司・克恵(木野花)には怒られてばかり。
他のパート女性達の輪にも馴染めないばかりか、冷たくされる一方で、落ち込む毎日でした。







場面変わって、精肉店のパート女性達は仕事を終えた後、飲み会へ。
おばさんパワー全開で飲み食い+おしゃべりに勤しんでいます。




どうやら貴子は最初から誘われなかった模様。
シゲさん家族が経営する居酒屋・「酔いどれ鯨」で、いつものように一杯やっていたキヨさん・シゲさん・ノリさんの自称・「三匹のおっさん」でしたが、隣のテーブルから聞こえて来た貴子への悪口の数々に、居ても立ってもたまらず、つい口出ししてしまいます。


ここでは、パート女性の一人・育代(藤田朋子)の言動に注目していきましょう。

(実際のドラマにはこんな場面は出てきませんよ!番宣用、番宣用!)

「サイコパスはだれかを恰好の獲物と見てとると、
その相手をじっくり観察する。
どのように相手を操作し利用すべきか、そのためには相手を
どのようにうれしがらせ魅了するべきか、考える。」

(良心をもたない人たち」 マーサ・スタウト 著、木村博江 訳、草思社文庫、2012、p.126)



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飲み会では、ひたすら相槌を打つ役に徹する、この育代という人物。
悪口大会には加わらず、周囲の人々に思う存分しゃべらせて、ターゲット候補・貴子の情報収集に徹します。







【隠れ自己愛】についての記事中に、「別名・ステルス自己愛」とも呼ばれる...と書きました。
そう、「ステルス戦闘機」なんて言葉に使われている、あの「ステルス」。
特殊な形状や製造技術を用いることで、敵のレーダーや見張りに引っ掛かりにくした戦闘機のことですよね。


それと同じステルス性が、この【トモダチ詐欺】の特徴です。
ほとんどの人の目には人畜無害な人物として映り、その場にしっくりと馴染んでいます。まるで空気のように存在感を「消す」ことができるんですね。
だから、ほとんどの人の「要注意人物レーダー」には引っ掛かってこないんですよ。
で、気が付いたら、目の前に迫って来て、ぴったりマークされている、と。そこで気付いても、時既に遅し、です。



この飲み会の場面を見ても、育代のステルス性=自分を消す、という傾向がくっきりと浮かび上がっています。
周囲がどんなに盛り上がっていても、自分はうなずくだけで発言はしない。
後から誰かに突っ込まれた時に、「私は無実だ。悪口なんて全然言っていない。あなたたちが勝手に盛り上がっていただけじゃないか。」と、白を切るために予防線を張るんですよ。その辺はしたたかに計算し尽くしています。


「口を慎む」という行動。
表に出ている部分は同じに見えても、裏にある動機は人によって異なります。
この時点ではまだ伏せられていますが、木野花さん演じるパート女性のまとめ役・克恵は、良心と正義感の強さゆえに悪口大会へは参加しないで静観する人。







対照的に、「どうやったら貴子の弱点を少しでもつかめるか」に全関心を傾けている育代は、「有利な情報は一言足りとも聞き漏らすまい」という理由で、言葉少なになります。
似て非なる二者...ですよね。



そう。要するに、この育代という人物は「ズルい」んですよ。
良心が乏しい上に、自分の損得しか考えていない。
身体は大人になってはいますが、良心や責任感や思いやりといった部分は、発達段階の途中で止まったまま。
そういう人物です。



「...サイコパスは私たちが彼らを知っている以上に、私たちをよく知っている。
私たちは相手に良心がないことをなかなか見抜けないが、
良心を欠いた人間はだれが善良でだまされやすいか、即座に見分ける。」

(同上)


東京都23区内にあるゆったりとした作りの土地付二世帯住宅に住む「若奥様」で、貧乏とはおよそ無縁の人生を送ってきた、貴子。見るからにお人よしで騙されやすそう。
しかも夫は大手銀行勤務のエリート、と来ている。
獲物としてはまさにうってつけの相手です。



状況が整ったと判断するや否や、育代は、貴子への「トモダチ詐欺」作戦をいよいよ実行に移し始めます。



「...サイコパスは親近感を強めるこつを心得ていて、犠牲者に自分と似たところが
あると言って近づく。犠牲者はサイコパスと縁が切れたあとまで、自分の心を
つかんだ台詞をよく覚えている。
『ぼくと君とは似た者同士だ』『あなたとは心が通じあえるの』などだ。」

(同上)


育代は、仕事が終わって従業員控え室にポツンと一人でいた貴子をうまく誘い出します。
そして、「私はあなたの味方よ」とさかんにアピール。
パートの同僚から貴子ひとりを隔離し、まんまとドーナツ屋でのお茶へと持ち込むや否や、育代はその場にいない同僚たちへの悪口独演会を始めました。



落ち込んでいた自分に声を掛けてくれたことに恩義を感じた貴子は、つい、それに付き合ってしまうんですね。
「悪口って疲れる...」と、内心うんざりしながらも。



この辺りで視聴者も気付きます。
あぁ、やっぱり。この育代っていうキャラクター、親切振りをアピールしているけど、実はただの腹黒二枚舌なんだな、と。



仕事の帰りに貴子と立ち寄ったスーパーでは、山ほど買い物。
「バイクで運ぶから平気~」と、背伸びや気取りとは無縁のぶっちゃけ系・庶民派キャラクター。
どこのパート仲間にも、ママ友集団にも、必ず一人や二人はいそうですよね、こういう女性って。
でも、「よくいるタイプの人」だからといって、ガードを緩めて、心の扉を開け放ってしまっていいか、というと、そんなことはありません。


「よくいるタイプの人」。
「親しみを感じさせる人」。
「とっても話好きな人」。
「親密なお友達関係、という雰囲気に持ち込むのがうまい人」。



表ではそうしたキャラを巧みに演じ、「カモ」りたい相手の警戒心や疑いを、少しずつほぐしていく。
でも、裏では「どうやってこいつから搾取してやろうか」と、始終計算し、損得勘定ばかり気にしているのが、【トモダチ詐欺師】という人種なんです。
油断大敵。気を許してはなりません。



表の「いい人面(づら)」という包装紙に騙されてはいけませんよ。
ギャラこそもらっていませんけど、相手はプロの役者です。
だって、もう何十年も同じ役柄をやっているんですからね。
履歴書にこそ書けないものの、ベテラン中のベテランです。説得力だけはあります。



でも、何もあなた自身がその共演者になる必要はありません。
最後に必ず泣きを見る、そんな哀れな共演者の役なんて、引き受ける必要なんて無いんですよ。



どうしたらこの手の人の術策にまんまとはまることなく、うまく逃げられるんでしょうかね。
【後編】で見ていきましょう。

2014/03/16

君は見たか?「おはようおじさん(ポンポンおじさん)」を。

「おはようおじさん」


この言葉にピクッと反応した人、あなたはひょっとして神奈川県出身...



とは限らないんですよね。



むしろ、「沖縄の方ですか?」と、聞くべきなのかもしれません。




つい数日前、この衝撃の事実を知りました。おじさんは、沖縄にいたのです。



まさか、30年という長い年月を経て、「おはようおじさん」に再び会えるとは。感無量。



あれは、遠い昔。中学3年生の夏休みのことでした。
クラスの仲良しの友達グループと、「みんなと一緒でいーよね。」と、いい加減に申し込んだ、夏期講習。
30分程電車に揺られて、みんなでくっちゃべりながら(どうせ、好きな男子とか、芸能人とか、他愛の無い話に決まってる。)通うのが、高校生活の先取りみたいに感じられて、中途半端に田舎な郊外住宅地の公立中学生だった我々にはなかなか新鮮でした。



講習の会場は、今となってはかなりの進学校となってしまった、JR南武線沿線にあるS学園の校舎。
駅から10分程だらだらと歩いていくのですが、そこで我々は出会ってしまったのですよ。あの方に...。





当時は頭の上のお花も付けていらっしゃいませんでした。ごくシンプルに、ヘルメットだけ。
また、バイクももっと身軽でした。
今しがた新聞配達を終えた、って感じの、恐らくはホンダスーパーカブか、同等クラスの比較的地味な業務用二輪車だったように記憶しています。周りに荷物なんてあったかな。その辺はよく覚えていません。



近年撮影されたおじさんの映像/画像中のお姿とは異なり、当時(1983年)、特にこれといった小道具は手にしていらっしゃらなかったですね。
来日したマリリン・モンローを指圧し、「Shiatsu」の言葉を世界中に広めたことで有名な指圧指導者の故・浪越徳治郎先生(「指圧の心は母心、押せば命の泉湧く...。」←名言!)のトレードマークとも言えるあの親指♪立て♪立て♪の状態で、リズミカルに両手を上下に揺すぶっていました。
(2014.3.17訂正 立てていたのは人差し指だったそうです。下のリンク先の記事の写真通り。)



浪越先生の手つき、下の動画の左端の写真でわかるかなあ?



な、なぬっ?マリリン・モンローだけでなく、御大・ジャイアント馬場全日本プロレスリング社長まで施術された、と???そりゃ初耳だ。




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それにしても、まずいですよ、この歌。キャッチー過ぎて癖になりそうだ...。
♪ナミコシ、ホンゴシ、ツライコシ...♪ だ、誰か止めて~~~!!!




おじさんは、バイクの座席に横向きに腰掛けては、道行く中・高校生に向かって
「おはよう、おはよう。おはようおじさんですよ。」
と、ひたすら語りかけていました。
何でも、他の子によりますと、「盆踊りは終わりましたか~」と話し掛けられたこともあったそうです。
「おはよう、おはよう...」以外にも、話のバリエーションは多少あったんですね。



夏期講習で訪れていただけの、「よそ者」に過ぎなかった私達中学生グループ。
正直なところ気味が悪かったので、おじさんの側を通り過ぎる時はひたすら「見て見ぬフリ」に徹することにしました。



まだ中学生でしたし、まともかまともでないか、よくわからん人(おじさん、ゴメンネ。)を下手に刺激して、自宅から遠く離れた川崎市内で厄介事に巻き込まれるのだけは嫌でしたからね。
携帯電話なんて「ドラえもん」のひみつ道具と同じで、まるで夢みたいな話、という時代でしたから。親に電話かけるにしても、コイン式公衆電話が頼り、ってね。
だから「触らぬ神にたたりなし」。これで行くしかなかったんです。



結局、我々は一度たりともおじさんの挨拶や問いかけに答えないまま、講習最終日まで視線を合わせないようにしてスルーし続けました。
その後、受験だの何だのと忙しくなったこともあって、おじさんのことはいつの間にか記憶の彼方へと飛んでいったのです。



さて。
その翌年です。
無事試験も終わり、県央地区の公立高校に通い始め、そろそろ学校生活にも慣れたかな...という頃。



国道246号線の高架下、薄暗い歩道上に浮かび上がる、一人の男性のシルエット。
停めたバイクの座席に横座りした、あの丸顔の男性って、もしや...。



おはようおじさん!





前年のS学園近くで見かけた時と、いでたち、そして「おはよう、おはよう、おはようおじさんですよ...」という一方通行の挨拶、身振り手振り、その他何一つ変わったところはありませんでした。



「なんだありゃ~」と当惑していた同級生達に、
「あの人、去年、川崎のS学園のそばの道でも毎朝毎朝おんなじカッコして、『おはよう、おはよう、おはようおじさんですよ~』」って学生達に声かけてたんだよ!!! いろんな所に出没しているに違いないよ!!!」
と、私は興奮しつつ皆にレクチャーしまくりました。
川崎から我々の高校のある街までは随分と距離があるので、にわかには信じ難かったのですけどね。
でも、間違いなく同一人物でした。



...っていうか、あんなユニークな人、そうそういませんでしょ...。



その後、「今朝はポンポンを振り回していた」との目撃談もちらほら。(残念ながら、私は見逃しました...。)
今では「ポンポンおじさん」の名の方が沖縄では通りが良いようですが、そのポンポンという小道具、1984年の時点で既におじさんのパフォーマンスの一部となっていた模様です。
宗教のことについては、まだ何も言っていなかったような...。まだ構想中の段階だったのかもしれませんね。


沖縄B級ポータル DEE okinawa 2011.04.19 【緊急対談】ポンポンおじさん




おじさん、神奈川県だけではなく、北海道を除く全国津津浦浦をバイクひとつで行脚してらしたんですか。
しかも、実は「科学教会」を主宰する、「金城牧師」というプロの宗教者だったなんて...。
「200歳まで生きる」ための科学、ですか。
はぁ。
死後の世界も無い、と、キッパリ言い切ってらっしゃる。
ほぅ。



「科学教会」の教義に関しましては、もうそれ以上私からは何も言いますまい。
突っ込みどころは山ほどあるのですが...ここはぐっと抑えて。



勇気あるA高校の男子学生が本人に直接アタックしたところによると、おじさんが路上に立ち続けるようになったのは、子供を交通事故で失くしたことがきっかけ、とのこと。
悲しみがあまりにも深いため、全てを捨てて身一つで「交通安全祈願の旅」に出て、通学途中の青少年を見守ることに生涯を捧げたおじさん。
そんな優しいおじさんには、あんまりケチつけたくないんですよね。



それに、この「おはようおじさん」の話をハガキに書いて、当時、ラジオ日本で夜10時から放送されていた「サウンドプロセッサー」という音楽番組に出したところ、音楽評論家・大貫憲章さん(クイーンの日本デビュー・アルバム↓に、ぶっ飛んだすごい解説文を書いたことで、洋楽業界ではかなり有名な方。)に読んでいただけた、という、良い思い出もあることですし。(←プチ自慢。)



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えへ〜。ハガキ読みながら、憲章さん、笑い押し殺していたな〜なんてこと、今も思い出す度にニンマリしちゃいます。
その後、何人かのリスナーから「私も見た!」「東京にも出た!」なんて反響もありましたっけ。
北海道を除く全国を廻っていらっしゃったのですから、他県でも目撃情報があったのは当然だったのですね。



インタビューを読み終え、あまりにも謎に満ち満ちたこの「おはようおじさん」/「ポンポンおじさん」について、更なる情報は無いかな〜、と、軽く検索したところ、




何と!




どひゃー。
一体なんなんだ、これは〜〜〜〜!





おじさんの英語、すごい...。
鈍器でバコン!と一発殴られたような衝撃を受けました。



1970年代まで米国統治下にあった沖縄のご出身だったとしても、
ご本人曰く、米軍基地での勤務経験があるとしても、
それにしても表現や言葉の選び方に確かな実力を感じさせます。おじさんの英会話。



70代にして、アメリカ人を相手にしたこの自然なやり取り、すごすぎません???
しかも、おじさん、大学時代に少し学んだフランス語ももっと頑張りたい、だなんて...。(唖然。)



その昔、フランス語を大学で学び(+さっさと忘れ)、現在アメリカ在住十五年目に入ったにも関わらず、いざとなるとどもってしまう、怪しい会話力の自分は、おじさんの前向きな言葉、前向きな生き方にただただ、身の縮む思いであります...。



おじさん、ごめんね。
今までずっと色眼鏡で見てしまっていたこと、投稿ネタにして笑ったこと、どうか許してください。
最近はあまり目撃情報が出て来ないので少々気がかりなのですが、沖縄のどこかでのんびり無事に暮らしていることを願います。
どうかいつまでもお元気で!



人を見かけで判断しちゃいけませんね。
ホント。