2016/10/13

続・「人は変わるの」 ~キャロライン・メイスが読み解く「がん」~

先日書いた記事「人は変わるの」では、「歳月とともに、友達との付き合い方も変わっていいのだ。」という趣旨の英文記事を簡単にご紹介した。







そう。
出会った当初は、面白おかしいだけの付き合いで良かった。
だが、いろいろな世界を見聞きし、そこでまた興味深い人々と出会ううちに、「彼女(彼)とこうやって惰性で付き合っていて、果たして自分のためになるんだろうか。」と、疑問を抱き始める。
「会いたいから会う」のではなく、「過去のつながりに義理立てしなきゃいけないから、会う」ようになってくる。
新規開拓するのが面倒だから、多少の不満はあるが、いつまでも近所にある馴染みの店に通い続ける、というランチタイムの行動パターンにどこか似ている。


惰性でつながっているような、いわゆる「腐れ縁」(日本語って本当にいい表現持ってるよね...)。
残念ながら、こうした人付き合いからは、


成長

学び


発見


喜び


励まし

支えあい ...


といった、人間にとって絶対必要な栄養分を摂取できることはまず期待できない。
生命(いのち)を燃え立たせるだけのエネルギーなんて、含まれていないのだ。そういう「くたびれた人間関係」には。
強いてメリットを挙げるならば、未知の世界へ飛び出さなくてもいい、という偽りの安心感を与えてくれること、ぐらいかな。
長い目でみたら、決してプラスに働くことはないのだが。
だって、「偽り」だもの。いつかは壊れる。



「人は変わるの」というタイトルは、元の英文記事で筆者のRajie Kabliさんが使った"People Change."をそのまま使わせてもらった。
彼女が元・友人と縁を切ることを決意した時の言葉、たいせつな事がギュッと凝縮されているので、ここに引用しよう。


I learned a lot from that friendship, but the biggest takeaway came when she reached out again and I just didn’t respond. Some may find that cold or harsh but I say it was the biggest lesson for me because I came to a deep understanding that this person is not meant to be in my life and it’s better that way. Saying no is okay. We serve neither ourselves nor others by holding on to stagnant or unfulfilling relationships.
彼女との付き合いから学んだことはたくさんある。でも、何よりも大きな気付きが訪れたのは、彼女の方から再度私に連絡してきた時のこと。私からは何の返答もしなかった。ただ放置した。 
「冷たい」「ひどい」と、私を責める人もいるだろう。でも、あれが無ければ、私にとって人生最大の教訓を得ることもなかっただろう。あの時、私はようやく心の底から理解することができた。「これ以上、私の日常に彼女を居座らせていてはだめ。離れた方がいい。」と。

「No」と言ってもいいのだ。腐れ縁と化してしまった人間関係や、心満たされない人間関係にしがみついていても、良いことは無いんじゃないかな、と思う。自分のためにも、相手のためにも。


もはや自分にとってのエネルギー源とならないような人間関係や、環境。
そこから立ち去ることは、決して悪でもなければ、「人でなし」な行為でもない。
逆に、立ち去らず、その場にとどまっていることを選ぶ方が問題を悪化させてしまうことがある...。



興味深いことに、人間の身体にもそのからくりがそっくりそのまま当てはまるらしい。
タイトルで既にネタバレしているが、


がん

が、まさに


「立ち去ることを選ばずに、その(腐りかけた)場所にとどまり続ける」



ことと深く関わっている病気だ...



という説を唱えている人物がいるのである。
言うまでもなく、その人物とは、既に本ブログで何度も取り上げているキャロライン・メイス(Caroline Myss)


「人は自分の部族のルールからはみ出して生きるのを嫌がる。
部族から追い出されることが怖いからだ。---キャロライン・メイス」



直観医療能力者(medical intuitive:他人の健康状態や身体エネルギーを直観で読み取り、病気の状態や原因を特定できる能力の持ち主。)としての活動を始めた1980年代後半から、彼女の主張は少しもブレていない。進化・発展はしているものの、基本的な主張はずっと変わらない、と言っていい。
お見事。



健康の創造―心と体をよい関係にするために
C.ノーマン シーリー キャロライン・M. ミス
中央アート出版社
売り上げランキング: 568,728

[筆者注:Myssは、「メイス」が正しい発音。また、シーリー博士の名前は、通常、Norm Shealyノーム・シーリーと表記されることが多い。] 





上の日本語版は、1988年発行の初版原本を底本としたもの。
1993年版の英語原書を見ると、記載されている症例の数が邦訳本よりもかなり多いので、できるだけ英語版を読み進めることにしている。もちろん、日本語版は常に傍に待機させているけどね。医学用語をいちいち辞書引くのが面倒くさいもんで(笑)。


彼女のエネルギー分析によると、いわゆる「がん家系」という言葉で表されるような遺伝的素質を別とすれば、がんを生じさせるのは以下の五つの心の在り方だ、という。


1.過度の恐れ(excessive fears) 
(例:金銭的な不安、「年金がもらえなくなるかもしれない」、病や死への恐怖、「配偶者が心変わりするかも」といった慢性的な恐れ...)

2.罪悪感(guilt feelings)
(例:過去の挫折や失敗の引きずり、家族や所属する集団の期待に応えられなかった後ろめたさ...)

3.変化に対応できない無力感(the inability to cope with change)
 (例:弱りつつある肉体への失望、年老いて下の世代に世話になることで感じる情けなさ...)

4.自己嫌悪/自己否定(self-hate or denial) 
 (例:「自分はダメな奴だ」という思い込み、「家族が第一。自分は二の次。」的な生き方...)

5.「未処理案件」(unfinished business) 
 (例:幼少時の虐待体験を引きずる、昔の恋人の裏切りを忘れられない...)

【※以上、訳語は「健康の創造---心と身体をよい関係にするために」 (C.ノーマン・シーリー、キャロライン・M.・ミス共著、石原加代子訳、中央アート出版社、1995 )中のものを使用。これ以降の引用も同じ。】


今や日本人の死因第一位となってしまった病気だけに、知人・親戚ぐるりと見回せば、必ずや一人や二人は、この病気と共に生きている人が見つかるはずだ。
有名人・芸能人のがん患者さんの近況を聞き、「こわいわ~...」「検診、行ってみようかな...」と、心がざわざわすることも多いだろう。
(特にここ数年、気持ち悪いぐらい増えているような...。)


今この瞬間にがん治療を行っていらっしゃる方々が、上の部分を読んで「ひどい!自分はこんな人間じゃないのに!」とご立腹されたとしたら、引用者としてそれは大変申し訳ない、と思う。
上の5つの項目に何一つ思い当たる節は無い、という方には、「こういう説を唱えている人もいるんですよ。全員に当てはまるとは限らないと思いますが、お気を悪くされたのであれば、ごめんなさい。」と、先におわび申し上げておきたい。



私の身内にも、過去にがんに罹って回復した人、また、現在がん治療中の人が何名かいる。
また、高校時代からの友人のお母様も、50代という若さで肺がんのためこの世を去ってしまわれた(家に誰も喫煙者がいないのに!)。初孫の顔も見ないうちに。
そんなこともあって、私は「がん」という病を、決して軽く考えているわけではない。
原因はどうあれ、がんに罹ったことで、苦しみの日々を経験されている患者さんには、「どうか一日も早く、病から治る力がもたらされますように。笑顔の日々がやって来ますように。」と、心からの祈りを捧げたい、と思う。



でも、そういう患者さんも、また、患者さんのご家族の方も、ここは少しだけ冷静になって、キャロラインの言葉に少しだけ耳を傾けてみて欲しい。
どこか、上に紹介した「人は変わるの。」の筆者が到達した、「腐れ縁からは離れろ。未知の領域へと踏み込むことを恐れるな。」の結論と重なりはしないだろうか。


「わたしのワークショップでは、参加者に自分がとてつもなく大きなチーズクロス(目の粗い薄地の布)



(https://www.amazon.com/Cheesecloth-Unbleached-Cotton-Filter-Reusable/dp/B015F11N54?th=1 より拝借)

だと想像してみるよう教えています。


理想的には、人生の一瞬一瞬で得たあらゆる感情や経験が、チーズクロスを通る風のようにわたしたちを通り抜けていくべきなのです。
 

わたしたちは何かを一瞬、一瞬に学んでいくわけですが、  
その学びを包み込んでいる容器(出来事、対人関係、境遇)は捨てていくべきなのです。 

これが理想的な在り方であることを、もう一度強調しておきます。 
ガンは死にいたる第1の原因ですが、それは、この理想的な在り方を実現することが恐ろしく難しいからです。
わたしたちは容器のほうにしがみつこうとして、学ぶことを無視し、避けようとするのです。」
(シーリー、ミス、前掲書、p.215)

これを読み、お釈迦様が説かれた、「筏(いかだ)」のたとえ話を思い出す人もいるかもしれない。
ガンジス川の向こうへと渡してくれた筏は、確かに良いものだ。
だが、いくら良いものだからと言って、川の向こう岸に渡ってからもなお、筏を手放さずに頭の上に担いでいるのは、一体いかがなものだろう。その場に捨てていくのが良いだろう...っていう内容。(←乱暴なぁ~。)




本書には、上の説明に続けて、タイプの異なるがんに罹った4人の患者のケース・リポート(症例)が紹介されている。興味を持った方は、ぜひ、中古本になるが「健康の創造」を何とか入手して、ご自分でお読みいただきたい。
好みのツボにはまれば


めちゃくちゃ面白い本


だってことは、この私(どの私なんだか)が自信を持って保証いたしますです。
まぁね、正直な話、自分の体調や症状と関係した部分を読むのは、少し勇気が要るのだけれど。



あ、でも、その前に、より入手しやすいこちらの本で予習してからの方が面白さが増すんじゃないかな。彼女独特の用語の使い方にも慣れておけるし。


チャクラで生きる -魂の新たなレベルへの第一歩- (サンマーク文庫)
キャロライン・メイス
サンマーク出版
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2:31からの部分、西城秀樹の「ヤングマン(Y.M.C.A.)」サビ部分の振り付けと同じで、毎回見るたび身体が勝手に動いてしまう...(笑)。
これも一種の脊髄反射。

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