いや〜、今朝一発目のHumans of New York(以下、HONYと略)には驚かされましたね〜。
(HONYについては、簡単に数日前の記事でご紹介したばかりです。)
こちらの写真なんですけど。
Whole Foods(オーガニック・自然食品を中心に扱う、全米に支店網を持つ高級スーパー。)で何買ってきたのかな。“I’m a pianist. I’m playing my last concert Thursday night. Then I’m taking a sabbatical. Some of my friends think I...
Posted by Humans of New York on 2016年3月1日
で、この男性が語った言葉が、いつものように写真に添えられていました。(訳は私自身のやっつけ仕事です。)
「僕はピアニスト。木曜の夜、最後のコンサートで演奏するんだ。それが済んだら長期休暇に入るよ。『今、引っ込むだなんて。どうかしてるよ。』って言う友人もいるけど、僕は『年間200回のコンサートをこなす演奏マシーン』になりたくないんだ。どうしても効率最優先とならざるを得ないからね。 だけど、効率、効率...ばかりでは、人間、燃え尽きてしまうよ。
リンカーンセンターとか、カーネギーホールで弾くとなると、プレッシャーだって半端じゃないんだから。」
ん...???
リンカーンセンターに、カーネギーホール???
しかも、年間200回コンサート、って???
この方、ただものじゃない...!
「チケットにお金を払って来てくれているお客さんのことは大切にしなきゃ、と思ってる。 もし、僕がボーイング777の機長で、お客さん400人を乗せるような立場にあったら、新しい操縦テクニックを試すなんてことはしない。楽しみや実験のためにする仕事じゃないからね。夢だのアイデアだのに浸っている余裕なんて無いんだ。
だけど、自分を一回り成長させたかったら、敢えて世間から一歩身を引いてみる必要があると思う。伸びしろを大きくするためにも。
もっとも、休みを取ったからといって、『より優れた (better)』音楽家になれるという保証は無いさ。『より優れた』という言い方は好きじゃない。他人との競争って意味合いが含まれているから。
でも、しばらく休んでみることで、いくらかは人間らしさを取り戻せるんじゃないかな。さもないと、ますますオートマトン(自動人形)化していくだけだよ。
まるで新大陸探検に出る気分さ。慣れ親しんだ物以外の、新しい何かを生じさせてくれる空間。...休暇って、そういうものだと思う。」
コメント欄をたどっていったら、やはり彼を知っている人がいました。
クラシック音楽にお詳しいかたなら、もちろん、ご存知ですよね。過去に何度も来日しては公演しているポーランド出身(ハンガリーとの混血だそうですが。)の超・有名ピアニストですので。
名字は「餡(あん)、出る。シェフ、好き!」...と覚えたらよろしいかと思います。(←そんな語呂合わせしてどーするの。)
(音がきれいなバッハだなぁ。伸びやかで、それでいて抑制が効いていて...。)
アンデルシェフスキ(ピョートル)
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招聘元・KAJIMOTOのHPに掲載されているインタビュー。
彼の名前を目にした瞬間、
「あ!あの、列車生活ピアニスト(a.k.a.列車男)!!!」
と、数年前にCSクラシック専門チャンネルでたまたま見た、ドキュメンタリー映画の記憶が蘇ってきました。
HONYに登場した今日の彼、映画の中では全く違う髪型でした。パッと見ただけでは全くわからなかったです。
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残念。日本語はついていないんですね。英語字幕を追っかけるしかなさそうです。
スカパーやケーブルテレビに加入中の方だったら、そのうちクラシカ・ジャパンという有料チャンネルで見るチャンスが巡ってくる...かも。
確か、日本語字幕付きだったはずです。(でなきゃこの私が内容を覚えているはずがない。)
断片的な印象しか残っていないのですが、客車一個を丸々借りきって、ピアノ練習室・兼・住まい・兼・ヨーロッパ各地への移動手段にしてしまう、という発想の斬新さに、度肝を抜かれました。
それだけはよく覚えています。
演奏風景の合間に挟まれる、茶目っ気たっぷりでめまぐるしく変化する彼の表情や、熱っぽく語る音楽論が、これまたさらに魅力的でしてね。
頭が抜群に良くって、めっちゃ規格外の「自由人」という感じ、ガンガンに伝わってきました。ほんの少〜しだけ「のだめカンタービレ」の野田恵っぽいかも...。
二ノ宮 知子
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自由人ではありますが、音楽に関しては妥協を許さない職人気質の持ち主でもあるんですね。
マレイ・ペライア、内田光子といった一流ピアニストが参加・受賞したことでも知られるリーズ国際ピアノコンクールにて、審査員からその演奏を大絶賛されながらも「出来が気に入らない」との理由で途中棄権した、という武勇伝を残した人でもあります。
アンデルシェフスキさんの列車ぐらし、ちょっとだけのぞいてみましょうか。
これからしばらく「家」となる、マイ客車に到着。 |
商売道具ですもん。楽器持ち込みは当たり前。 |
車窓からの風景がコンサート前の緊張をほぐしてくれます。 |
キッチン付きだから、軽食ぐらいなら、何とか。 |
レールの上の、ミニミニコンサート。 |
今日もいい日だった。おやすみ〜。 |
上の画像4点、こちら↓の動画からお借りしました。
Part 1
Part 2
Part 3
Part 4
Part 5
Part 6
作中、彼が何言ってるんだかまるでわからないのですが(多分、ポーランド語かな?時々フランス語も登場。)、音楽と映像だけならばこれで何とか楽しめますよね。
詳しい話の内容が知りたければ、市販のDVD/Blu-ray Disc、買ってください。
そういえば、こちらのお宝映像てんこ盛りのDVDでも、コメンテーターとして英語でしゃべりまくっていました。(話し好きなのね。)
私、持ってるんですよ。これ。
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(ホロヴィッツの「カルメン幻想曲」の演奏が神業すぎて鳥肌立ちますよ...。)
アーティストである前に、一人の人間として充実した人生を送りたい。
そんな思いから、40代後半という、ピアニストとしてはまさに脂の乗り切った時期にもかかわらず、周囲の反対を押して長期充電に踏み切る、という決断を下したピョートル・アンデルシェフスキさん。
その勇気、そして音楽と誠実に向かい合う姿勢に、心からの拍手を送ります!
あさって(米国時間)のコンサート、きっとうまく行きますよ。
ピョートルさん、日本が大好きなんですって。
ぜひ、休暇中にゆっくりと遊びに来ていただきたいですね。
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