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2016/05/24

月は蠍座にありて、影深く【3】(Blame it on the Moon in Scorpio)


シマノフスキ・ピアノ・アルバム



(今、私はあなたが演奏するポーランドの作曲家・シマノフスキのアルバム(上の画像)を聴きながらこれをタイピングしています。
メロディーを追いかける必要は無いけれど、でも、周りの空気をある方向へと向けてくれるこういう独特の魅力を持った音楽、最近好きです。確かに慣れるまで時間はかかりますけど、癖になりますね、これ。ヘヴィメタル/ハードロックの延々と続くギターソロやドラムソロみたいな感じ(笑。違うか?)  
★YouTubeのプレイリスト★→https://www.youtube.com/playlist?list=PLT_qumLCdp9v_CX7Mh1ltNS5-Smv5fLcl)


最近、ようやくおぼろげながらわかってきたことがあります。
自分は、長いこと自分の手でわざわざ【疎外感】を作り出すような、愚かしいことをずっと繰り返していたのだ、ってこと。
決して「あの人達」が悪いのではない。


原因は、自分の方にありました。


2016/05/13

月は蠍座にありて、影深く【1】(Blame it on the Moon in Scorpio)

親愛なるP.A. 様。


モーツァルト:ピアノ協奏曲第17番&第20番
10年前の写真ともなると、さすがにお若い。

ご機嫌いかがですか。
待ちに待たれた長期休暇(サバティカル)、きっと楽しまれていることと思います。

(※以下、読む人完全無視の強引独り言モードに突入しますので、クリックは自己責任でお願いします。)

2016/03/01

ま・さ・かの有名人登場!【Humans of New York】

いや〜、今朝一発目のHumans of New York(以下、HONYと略)には驚かされましたね〜。
(HONYについては、簡単に数日前の記事でご紹介したばかりです。)


こちらの写真なんですけど。
Whole Foods(オーガニック・自然食品を中心に扱う、全米に支店網を持つ高級スーパー。)で何買ってきたのかな。

“I’m a pianist. I’m playing my last concert Thursday night. Then I’m taking a sabbatical. Some of my friends think I...
Posted by Humans of New York on 2016年3月1日


で、この男性が語った言葉が、いつものように写真に添えられていました。(訳は私自身のやっつけ仕事です。)

「僕はピアニスト。木曜の夜、最後のコンサートで演奏するんだ。それが済んだら長期休暇に入るよ。『今、引っ込むだなんて。どうかしてるよ。』って言う友人もいるけど、僕は『年間200回のコンサートをこなす演奏マシーン』になりたくないんだ。どうしても効率最優先とならざるを得ないからね。 だけど、効率、効率...ばかりでは、人間、燃え尽きてしまうよ。

 リンカーンセンターとか、カーネギーホールで弾くとなると、プレッシャーだって半端じゃないんだから。」

ん...???
リンカーンセンターに、カーネギーホール???
しかも、年間200回コンサート、って???



この方、ただものじゃない...!


「チケットにお金を払って来てくれているお客さんのことは大切にしなきゃ、と思ってる。  もし、僕がボーイング777の機長で、お客さん400人を乗せるような立場にあったら、新しい操縦テクニックを試すなんてことはしない。楽しみや実験のためにする仕事じゃないからね。夢だのアイデアだのに浸っている余裕なんて無いんだ。

だけど、自分を一回り成長させたかったら、敢えて世間から一歩身を引いてみる必要があると思う。伸びしろを大きくするためにも。

もっとも、休みを取ったからといって、『より優れた (better)』音楽家になれるという保証は無いさ。『より優れた』という言い方は好きじゃない。他人との競争って意味合いが含まれているから。
でも、しばらく休んでみることで、いくらかは人間らしさを取り戻せるんじゃないかな。さもないと、ますますオートマトン(自動人形)化していくだけだよ。

まるで新大陸探検に出る気分さ。慣れ親しんだ物以外の、新しい何かを生じさせてくれる空間。...休暇って、そういうものだと思う。」


コメント欄をたどっていったら、やはり彼を知っている人がいました。




クラシック音楽にお詳しいかたなら、もちろん、ご存知ですよね。過去に何度も来日しては公演しているポーランド出身(ハンガリーとの混血だそうですが。)の超・有名ピアニストですので。
名字は「餡(あん)、出る。シェフ、好き!」...と覚えたらよろしいかと思います。(←そんな語呂合わせしてどーするの。)




(音がきれいなバッハだなぁ。伸びやかで、それでいて抑制が効いていて...。)



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やっぱり、カーネギーホールの、それも舞台ど真ん中で弾いている方でしたか...。

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招聘元・KAJIMOTOのHPに掲載されているインタビュー。

(そっか、前回の長期休暇中には、京都の禅寺で坐禅修行にも挑戦したんだ。きっと実り多い時間を過ごせたのでしょうね。)



彼の名前を目にした瞬間、


「あ!あの、列車生活ピアニスト(a.k.a.列車男)!!!」


と、数年前にCSクラシック専門チャンネルでたまたま見た、ドキュメンタリー映画の記憶が蘇ってきました。
HONYに登場した今日の彼、映画の中では全く違う髪型でした。パッと見ただけでは全くわからなかったです。


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残念。日本語はついていないんですね。英語字幕を追っかけるしかなさそうです。
スカパーやケーブルテレビに加入中の方だったら、そのうちクラシカ・ジャパンという有料チャンネルで見るチャンスが巡ってくる...かも。
確か、日本語字幕付きだったはずです。(でなきゃこの私が内容を覚えているはずがない。)



断片的な印象しか残っていないのですが、客車一個を丸々借りきって、ピアノ練習室・兼・住まい・兼・ヨーロッパ各地への移動手段にしてしまう、という発想の斬新さに、度肝を抜かれました。
それだけはよく覚えています。



演奏風景の合間に挟まれる、茶目っ気たっぷりでめまぐるしく変化する彼の表情や、熱っぽく語る音楽論が、これまたさらに魅力的でしてね。
頭が抜群に良くって、めっちゃ規格外の「自由人」という感じ、ガンガンに伝わってきました。
ほんの少〜しだけ「のだめカンタービレ」の野田恵っぽいかも...。

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自由人ではありますが、音楽に関しては妥協を許さない職人気質の持ち主でもあるんですね。
マレイ・ペライア、内田光子といった一流ピアニストが参加・受賞したことでも知られるリーズ国際ピアノコンクールにて、審査員からその演奏を大絶賛されながらも「出来が気に入らない」との理由で途中棄権した、という武勇伝を残した人でもあります。



アンデルシェフスキさんの列車ぐらし、ちょっとだけのぞいてみましょうか。


これからしばらく「家」となる、マイ客車に到着。

商売道具ですもん。楽器持ち込みは当たり前。

車窓からの風景がコンサート前の緊張をほぐしてくれます。

キッチン付きだから、軽食ぐらいなら、何とか。

レールの上の、ミニミニコンサート。


今日もいい日だった。おやすみ〜。

上の画像4点、こちら↓の動画からお借りしました。


Part 1
Part 2
Part 3
Part 4
Part 5
Part 6


作中、彼が何言ってるんだかまるでわからないのですが(多分、ポーランド語かな?時々フランス語も登場。)、音楽と映像だけならばこれで何とか楽しめますよね。
詳しい話の内容が知りたければ、市販のDVD/Blu-ray Disc、買ってください。



そういえば、こちらのお宝映像てんこ盛りのDVDでも、コメンテーターとして英語でしゃべりまくっていました。(話し好きなのね。)
私、持ってるんですよ。これ。


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(ホロヴィッツの「カルメン幻想曲」の演奏が神業すぎて鳥肌立ちますよ...。)



アーティストである前に、一人の人間として充実した人生を送りたい。
そんな思いから、40代後半という、ピアニストとしてはまさに脂の乗り切った時期にもかかわらず、周囲の反対を押して長期充電に踏み切る、という決断を下したピョートル・アンデルシェフスキさん。
その勇気、そして音楽と誠実に向かい合う姿勢に、心からの拍手を送ります!
あさって(米国時間)のコンサート、きっとうまく行きますよ。



ピョートルさん、日本が大好きなんですって。
ぜひ、休暇中にゆっくりと遊びに来ていただきたいですね。




2016/02/27

「あなたは特別」というハニートラップ 〜加藤諦三先生、またまた出番です!〜【後編】

〜【前編】からお読みください。〜



さて、本題に戻って。
ふにゃふにゃと頼りない自尊心に喝!入れて、シャキッとさせて、頑丈になるまで育てていきたい。
今日はですね、そんなあなたに一押しの一冊が...


あります。(キリッ!)


自分を嫌うな (知的生きかた文庫)
加藤 諦三
三笠書房
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タイトルが全てを物語ります。



以前から何度もご著書を紹介してきました、ラジオ番組のテレフォン人生相談でおなじみ、早稲田大学名誉教授・加藤諦三(かとう・たいぞう)先生。
つい最近、ようやくこの「自分を嫌うな」を手に入れました。
(行きつけの書店に注文するのがちょっと恥ずかしかったため、年末の帰国時に日本で購入...。)



いつにも増して核心をズバッと突いたキレのある言葉の連続に、「ひょっとしたらこれは先生の最高傑作なんじゃ...?」との確信は深まるばかり。
自分の過去を言い当てられたことに気付いた瞬間、息を呑み、しばし放心状態に陥る...ということも幾度と無くありました。
超・濃厚味の集中セラピーを終えて出てきたような、不思議な読後感を体験させていただきました。



前にも書いたことですが、加藤先生の本は私とは相性が良いようで、読み終えた後に他のセラピー系、心理学系の著者による本では味わえないような、特別な充実感が残るんですよ。
これ、いわゆる「カタルシス効果」ってやつですね。ずっと言いたかったけれど、言葉にするのがはばかられてしまいこんでいた心のモヤモヤを、先生が鮮やかにメッタ斬りにしてくれた、という。
いや〜、スッキリした!


まぁ、Amazonのレビュー等から見るに、加藤先生の本には熱烈な賛同者もいる一方で、どうしてもダメ、生理的に受け付けない、という方も大勢いるようです。
体質に合わせて処方しないと全然効き目が出ない漢方薬みたいなもので、合わない方にはからっきし合わない。
苦くて不快っていう後味が残るだけ。



まず、加藤先生の場合、お父様との長年の葛藤から来る恨み節(←失礼。)のようなネガティブ感情が全ての著書において通奏低音のように流れていますので、


「親と仲良し。親、大好き。」


という方には、全く合わないと思います。
悪いけど、他を当たってください。


それから、


「人間不信」

「孤立無援」

という言葉を聞いても、全くピンと来ない人。平静でいられる人。
あるいは、それがどういう状況を指しているのか、体験したことが無いからわからない、という人。








こちらも、他へどうぞ。
「何でこんなに物の見方が暗いの〜?ひねくれてるの〜?」と、不愉快になるだけですから。


あと、


「今に見ていろ俺(私)だって」


と、ついひとりごちてしまいたくなるような、ドロドロした劣等感を生まれてこの方抱いた記憶が無い、という(ある意味しあわせな)人。


んー、こちらも他所へ行かれた方が良いかと存じます。
無理して読まずに、他にもっと共鳴できる著者に直行するのが無難でしょうね。
その方が時間もお金も有効に使えますし。



加藤諦三ワールドって、ある意味、ダークでディープでグロくてじめっとしていますよね。
昭和時代(特に戦後)が作り出してしまった闇の部分を多分に引きずっているような、そんな世界が展開されていると思います。
(無理もありません。本文中、具体例に登場する人物の大半が昭和、特に戦後の高度成長期に現役だった人々ですしね。平成生まれの若い世代なんて、ほとんど出てきませんから。出てきても、せいぜい端役・脇役止まりでしょう。)



戦後復興、その後の高度経済成長に飲み込まれ、金・金・金...の拝金主義に毒されてしまい、「人間として何が一番大切なのか」を考えないまま、もしくは考えることを上の世代や時代から禁じられたまま、ここまで来てしまった人達。そして、その歪みをもろに食らってしまった、その子供達。
昭和の負の遺産を背負った彼らがいかに病んでしまったか、どうしたらその病を克服し、少しでも生きづらさを解消して、自分なりの幸せを作っていけるか。
加藤諦三さんのお仕事は、そうした


【昭和ネガティブからの解放】



というテーマでひとくくりにできるのではないかな、と、私は考えています



ですから、読む側にもある程度の【昭和ネガティブ】に関する予備知識が必要となってきますよね。
内部に同質の、あるいは類似の、呼応する【昭和ネガティブ】な部分がある程度存在しないと、感情移入なんて
無理。
で、感情移入できなければ、「あっ、そうか!」と腑に落ちて、スッキリした〜!と満足することもないわけで。



「辛いけど、これは壁をぶち破るためにはどうしても読んでおかねばならない」という気持ちがこれっぽっちも湧かず、「ただただ読むのが苦痛」としか感じられないのであれば、きっと加藤先生とはご縁が無かったんですよ。
あなたがおかしいのでもなければ、加藤先生が悪いわけでもない。
とっとと他を当たりましょう。




2016年度・今年読んで良かった本ベスト3入りは間違い無し、と早くも確信しているこの、「自分を嫌うな」。
赤線引っ張ったところが多過ぎて、もう数えるのも面倒なくらいなのですが、せっかくですので少しだけ引用しときましょう。
まずは、先のHONYに登場した、妻子に見捨てられてしまった中年男性に真っ先に聞かせてあげたい、この言葉。
自己評価・自尊心の問題に悩む全ての方に贈ります。


心の底で自己評価の低い人間は、自分にすりよってくる人間、自分に迎合してくる人間を望む。 
ところが、自己評価の高い自由な人間は、自分にすりよってくる人間を拒否する。(p.188)


確かに、男性側に「この程度なら」という認識の甘さがあったのは事実でしょう。それはご本人もよくわかっているようです。
でも、結婚20数年、子供が5人、なんて家庭の、いい年したお父さんに目をつけ、「あなたって特別」なんて甘い言葉や態度をちらつかせながら不倫関係を結んだ女性も女性、じゃありません?
まぁ、どっちもどっち...なんでしょうね。
片方だけが全面的に悪い、とは言えないはずです。



浮気に走る直前、この男性は(たとえ外からははどのように見えていようと)長年連れ添った妻との関係がうまく行っていなかったようですね。
その結果、男として、夫として愛されているという自信を失いかけていました。
自分に魅力が無いのだろうか、なんて気にしていたかもしれません。



不倫相手の女性から好意を示されたのは、そのような危うい時期だったみたいです。だからこそ、「よし!自分もまだ捨てたもんじゃないぞ!(歓喜!!!)」と、すっかりのぼせ上がってしまったんですね。
で、軽い遊びのつもりが、抜け出すタイミングを失して、ズブズブと深みにはまってしまったのでしょう。



仮に、この男性が奥さんとラブラブで、責任ある夫・父としてのプライドをしっかり持っていて、「自己評価の高い自由な人間」として地に足のついた生き方をしていたならば、
「おや、何だろう、この女。俺に気があるのかな。まぁ、嬉しくないわけではないが、でも、面倒なことになるのだけはごめんだ。うまくやり過ごすとしよう。」
...こんな感じで冷静に対処していれば、家庭崩壊という悲劇だけは避けられた...かもしれません。



次は、加藤先生の十八番的テーマですね。
「毒親」を持つ人特有の「生きづらさ」、その理由が述べられています。


「仕事における自己に対する高すぎる要求水準であろうと、人間関係に対する高すぎる要求水準であろうと、なぜそんなにまで高い要求水準が出てきたのか。
それはいうまでもなく親の高すぎる要求を内面化したからである。」(p.86)


親、特に加藤先生の言う「我執の人」タイプの親(支配過剰で、子供に自分の理想をゴリ押ししてくるような親。)との間がしっくり行かなかった、もしくは今なおしっくり行っていない、と感じている方。
そんな方でしたら、この「高すぎる要求水準」について説明は不要でしょう。



職場やママ社会など、人付き合いで、「今まで愛想良くしていた人が突然牙をむきだした」という経験したことありませんか?
どうやら、その原因は相手の「甘え」にあるようです。


「甘えた人間と、甘えていない人間が接触した時、傷つくのは必ず、甘えていないほうの人間である。 
(...)甘えた者は、他人に自分の受け入れを際限なく求める。そして、自己が受け入れられないと感じた時は周囲に攻撃性を示す。 
(...)結局、甘えた大人とつきあえるのは、甘えた大人だけである。」(pp. 146-147)

一見、きちんとした所のきれいな奥様風って感じの女性たちが、作り笑顔を浮かべながら褒め殺しの応酬をやっているところに出くわしたことってありません?



あれ、要するに「私もあんたのことをこれだけほめてやってるんだから、あんたも同じ分だけ返しなさいよ」と、他人からの賞賛が無いと生きていけない、甘えタラタラ人間が複数人揃うと必ず起こる、壮絶バトルなんですね。おぉ、こわ...。
で、とある筋から「あの人、陰で悪口言ってましたよ」なんて伝え聞こうものなら、そりゃ〜もう大変。
戦闘開始まではあっという間です。



といった具合に、文庫本一冊の中にいろいろなヒントが詰まっていて、読み応え十分です。



前にも貼り付けた動画ですが、復習用にもう一回載せておきます。




加藤先生のメッセージ、ざっとまとめるとこんな感じですかね。


幸せになりたいならば、自分を嫌いにならないこと。
一気に「好き」の段階に行かなくてもいいのです。
とりあえずは「嫌いにならない」という目標を設定し、それを一生涯キープしていきましょう。



じゃぁ、自分を嫌わないようにするためには、どうすればよいのでしょうか。
まずは、おのれの弱点から目を背けず、拒否せず、今ある姿のままに認め、受け入れる。
そうすれば、今まで気付かずに見過ごしていた長所や美点も自然と認められるようになっていきます。


周りの人々にあたたかく受け入れてもらいたい。
だったら、同じように自らの欠点も、美点も全て引っくるめて受け入れるのです。
自分の欠点を受け入れていない人が、人の欠点に寛容になれるはずがないでしょう。
同様に、自分の美点が見えない人は、他人の美点も見えません。


まずは、「自分を嫌うな」から始めましょう。




最後に。
この本のタイトル「自分を嫌うな」が目に入った瞬間、心の奥底がチクリと痛んだ、そこのあなた。
あなたはきっと、傷つきやすいけれど、人の痛みや苦しみがわかる人ではないでしょうか。
本当は「やさしい人として生きたい」と願っていますよね?
だったら、さっきあなたが感じた痛み、どうか「なかったこと」にだけはしないでください。



どうかあなた自身にもそのやさしさを向けてあげてください。



無視したからと言って、傷ついた部分は自然消滅なんてしないんです。
痛みがあるのなら、きちんと向き合って、対話して、その正体を明るみにしていかないと。
さもないと、どんどん肥大化し、醜い姿へと変わり、都合の悪い時に戻ってきては存在をうるさく主張し始めるようになりますよ。



そうなる前に、どうにかしたいものですね。

「あなたは特別」というハニートラップ 〜加藤諦三先生、またまた出番です!〜【前編】

Facebook上に、"Humans of New York(略称・HONY)"という、多くの人々に愛されているページがあります。
ご存知の方も多いのではないでしょうか。

https://www.facebook.com/humansofnewyork/?fref=ts


【公式HP】http://www.humansofnewyork.com/

【フェイスブック非公式日本語ページ】
※英語版投稿の一部を抜粋して、有志の方々が翻訳されているようです。※
https://www.facebook.com/HONYinJapanese/


若手カメラマンのブランドン・スタントンさんが2010年から撮り続けている、大都会・ニューヨークの今を生きるごく普通の、名もない一般市民のスナップ写真。


被写体となった人々が語った生の言葉を写真に添えて、毎日Facebook上に数枚ずつアップしていく、という形式がじわじわと反響を呼び、今では一日につき軽く数万もの「いいね!(Like it!)」評価を獲得する程の人気ページとなっています。





ブランドンさん、こんな風にニューヨークの街を歩き回って、被写体に直接アプローチし、色々とおしゃべりしながら写真を撮らせてもらっているんですね。
どんな相手に対しても同じ目の高さからまっすぐに、誠意を込めて語りかける。
そんな彼だからこそ、被写体となった人も思わず心を開いて、ポロッと本音発言を漏らしてしまう、のかもしれません。


既に書籍化もされていますよ。
こちらが2013年発売の、最初の写真集。

Humans of New York
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昨年秋に出た2冊目の写真集では、被写体となった人々の語るライフストーリーが主役を務めました。


Humans of New York: Stories
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そして、待望のお子ちゃまニューヨーカー特集。小さなおしゃれさんの笑顔がたくさん詰まっているはずですよ。


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こちらの記事(日本語)でもHONYの略歴がわかりやすく紹介されていました。


Global Voices日本語版 2014/10/10掲載
【スナップ写真で街の住人を紹介。世界を身近に感じられる「ヒューマンズ・オブ・ニューヨーク」シリーズ】



HONYをチェックするようになってから約1年半。
印象に残ったエピソードや人物を挙げればきりがないのですが、つい数日前に掲載された(※英語版Facebookページのみ)、とある寂しげな表情をした中年男性の言葉、そしてそれに寄せられた読者からのコメントは私自身の課題とも重なる部分が多かったため、特に心を打つものがありました。
というわけで、自己流で日本語訳を付けてみましたよ。



男性の写真はこちらでご覧ください。HONY公式HP中の該当ページに飛びます。

http://www.humansofnewyork.com/post/139737397206/i-was-married-for-25-years-and-had-five-children

(どうも、元米国大統領で、ヒラリーさんの旦那さんのあの方に雰囲気が似ている気がするのは、話の内容が内容だから...でしょうか?)


「結婚は25年続いたよ。で、子供が5人。それなのに、僕の方で心にちょっとした誤作動が生じて、人生がめちゃくちゃになってしまった。浮気したんだ。いわゆる情事、ってやつさ。 


『あなたはすごい人。』 
誰かにそう認めてもらいたかった。


その気持ちが抑えきれなくなってしまったんだな。

女房に落ち度は無かった。離婚した今でも、無いさ。まぁ、夫婦なんて、結婚して25年も過ぎれば、マンネリ化するものだからね。 


ちょうどそんな時、別の女が近付いて来て『あなたは特別だ。』なんて言って、ちやほやしてくれたら...そりゃもう、猫にマタタビ、となるよ。いくらでも欲しくなる。で、『じゃあ、そのうち昼飯でも一緒に。』なんて調子で話が進んで...と。

だけど、結局のところ、自分は自分でしかない。 


他の人がどのように思わせてくれようが、自分は何一つ変わりはしなかった。 
一時限りの感情、それだけさ。本気で追いかけたりして、我ながら愚かだったと思うよ。」

(原文)
“I was married for 25 years and had five children, but I allowed myself to make decisions based on emotional glitches. I had affairs. But they were affairs of the heart. I think I had a hunger to see myself as a great man in someone else’s eyes. My wife was a fine person, and she still is, but after 25 years of marriage things become settled. And when somebody else comes along and makes you feel like something special—it’s like catnip. You want more of it. You want to say: ‘Let’s get lunch sometime.’ But in the end, you are what you are no matter how somebody makes you feel. It’s just a feeling. And I wish I hadn’t chased it.”






この男性の写真には、今日の時点(2016年2月27日現在)で4000近いコメントが寄せられているのですが、その中で特に多くの賛同者を得ているのが、Alan D.さんという男性の方による、次の言葉です。
私も思わず、「いいね!(Like it!)」ボタンをクリックしてしまいましたよ。



「浮気した奴が悪い、と、この男性一人を責めるのは簡単だ。 だけど、この話は、なぜ人間が浮気に走るのか、という問題を心理学的に実にまっとうな形で説明してくれているように僕は思う。  

人は『自分は特別』と感じさせてもらいたいがために、つい、浮気へと逃げてしまうことがあるんだ。

実際、彼自身、認めてるじゃないか。『つかの間の、ニセモノの恋』でしかなかった、ってことを。

気付くのが遅すぎたよね。奥さんが彼の元を去ったのは無理も無いと思う。でも、この一件から得られたことだってあっただろうし、彼の今後の成長にとっても良かったんじゃないかな。」

(原文)
You know, it's easy to just condemn this guy for cheating on his wife, but I think this provides a very valid psychology for why people sometimes have affairs. It's about feeling special, and he admits that it was ephemeral and false. It was too late, and his wife should have left him, but there's merit to the story and to his evolution.

ここでは、「浮気」「婚外恋愛」「不倫」を道徳的にどうのこうのと語ることは致しませんよ。
ただ、「どんな人間関係であっても、嘘とごまかしが混入されるのは嫌ですよね。」とだけ申し上げるにとどめておきましょう。


奥さんに去られてしまった中年男性の言う通り、そして、コメント主のAlanさんの言う通り、


「あなたって特別な人なの」
「君は他の人と違うね。特別な存在だ。」


と言われて、グラっと来てしまう人は、確かにいますよね。
性別に関係なく。
...この手のおだて文句に弱くて、実際に誰かに言われたら、コロリと一発で参りそうだ、という方。
お客様の中にいらっしゃいますかー?


(ハイ!ココニ約1名、オリマス!!!)


あれまぁ〜、危ない、危ない。
外の空気に当たってちょっと頭、冷やしてきた方がいいですね。
どうも、「あなたは特別」という言葉には媚薬のような、人の判断能力を狂わせる作用があるみたいです。



他人にわざわざ「特別」扱いしてもらわなきゃいけないほど、脆弱で、ふにゃふにゃな自尊心。
(自尊心とは、特にこれといった根拠が見つからなくても、「うん、私はこれでいいんだ!」と、胸張って断言できるたくましい心...と、私は解釈しています)



これ、実に大きな問題でしてね。
何の対策も講じないまま、フニャフニャと頼りない状態のままに放っておいては、いざという時にとんでもないことになります。
この写真の男性が体験したように。
覆水盆に返らず。壊れてしまってから悔やんでも、遅いんです。



恋愛関係に限った話ではありません。周りをぐるっと見渡せば、ここかしこに「あなたは特別」の甘い誘惑が仕込まれていますよね。
例えば、
「あなたたちライトワーカー(Lightworker)が地球の未来を救うのです...云々」
といった、いかにもニューエイジ/スピリチュアル女子受けしそうな文章だって、要は「あなたたちは選ばれた人です。」という説を何とかして信じ込ませたい、という発信者側の意図が反映されているんですよ。
その他大勢と差別化し、ワンランク上へ持ち上げてやるような物言いをすることで、ポワワ〜ンといい気分にしてあげる、という。(で、あわよくば財布の紐もゆるやかに〜♪...ってね。)
「そうよ!私たちには宇宙から特別ミッションが課せられているのよ!!!」と奮い立つ一方で、実は内心「何も知らない、波動の粗い一般ピーポーは哀れよね...フッ。(笑)」とほくそ笑むような人、もし本当にいるとしたら...う〜ん。(...いや、確実に一定数はいると思う。本人たちは認めたくないだろうけどね。)


【後編】へと続きます。