2016/05/02

ファンとはこういうものなのです。

ファンという人種のあり方について、日本経済新聞に掲載されたとあるコラムがすっごく良いことを言っていたようだ。Twitterで拡散されて話題を呼んでいるらしい。
とても共感できるので、こちらにも貼り付けておこう。

(うちの大学の先生方は、卒論審査の際、このような一次資料に直接当たらない邪道な引用のことを「孫引き」と呼び、ルール違反だから今後は絶対にやらないように、と何度も強調なさいました。 
...仏文科の先生方、ごめんなさい。また、性懲りも無く悪い癖を繰り返しております...。)

憧れのあの方が


バッハ:イギリス組曲集~第1,3,5番



「ただ、元気でいてくれるだけでいい。
本人が好きなことを続けて、
幸せだと感じていてくれれば、
それだけでいい。」

という境地。遅ればせながら、最近ようやくそこまで辿り着けたように思う。



とはいえ、ここに至るまでの道は決して平坦・平穏とは言えないものであった。
昔は、「お願い!!! 私の方にだけ振り向いて!!!(←ばーか。)」という、一方的な思い入れ過剰で、妄想が暴走してばかりいたからなあ。
(幸か不幸か、どちらかと言えば小心者、しかも財力にもあまり恵まれていなかったため、「追っかけ」「ストーカーもどき」といった大胆かつ迷惑な行動に出ることは一切無かった。というか、そのような「あの方」に嫌われるような真似、絶対にできなかった。)


根っからの「信奉者/崇拝者体質」であり、狂気すれすれ(と、人は言う。)の激烈ファン道を若い時にとことん経験し尽くして「もう、いいや。」という所まで行ったからこそ、今は静かな確信を持って、穏やかな口調でこう言えるようになった。


「この人はみんなの、そして、全世界の宝。
だから、みんなで末永く支え、大切にしていかなくては。」


「私が...」「私を...」といった具合に、「私」で始まる文で「憧れのあの人」を語ることしかできなかった昔。
でも、近頃は「私たちみんな」という、一人称複数形の視点から語ることがむしろ当たり前、と思えるようになってきた。
少しは成長したのだろう。たまには自分に「グッジョブ!」と言ってやるかな。
(じゃ、ご褒美にCDをもう1枚...って、ほらー、また調子に乗り過ぎだぁ~。)

ピョートル・アンデルシェフスキ・ライヴ・アット・カーネギー・ホール




以下、G+に投稿した元記事(http://grapee.jp/173252)へのコメント部分。


異議なーし。
ファンとはまさしくこういうものですよ。
素晴らしい文章です。

私達は憧れのあの人(人々)の、「昨日よりも今日、今日よりも明日」と、誰も見ていないところで日夜努力し続けている姿を知っています。
(ね、P.A.様。J.S. BachのWell-tempered Clavier...Book IIだけでも大歓迎です...のCD録音、いつか実現させてください。首を長くして待っていますので。)

残念ながら、そうした絶え間のない努力が必ず100%報われ、良い実を結ぶとは限りません。その人自身がどれほど強くいい結果を出そうと思っても、一人の頑張りだけじゃどうにもできない場合だってありますから。いわゆる不可抗力、というやつです。

そんな時でも、どうにかしてあの方(達)だけには天界から「よく頑張ったね」というご褒美がダイレクト便でもって届いてくれればいいなあ、と、願わずにはいられない。
それがファン心理というものです。

金銭や名声という形でのご褒美も悪くはないですが、ファンとしてはむしろ私達の大切なあの方(達)が

「今まで頑張ってきて良かった。生きてて良かった。」 
と心から思えるような
    幸 せ な 時 間
  
を少しでも多く、少しでも濃密に体験する、という形でのご褒美を希望します。
お金に換算できない努力には、
お金で買えない喜びという報酬が
最もふさわしいと思いますので。







日本経済新聞、2016年4月28日付夕刊からの引用だそうです。
(上二点の画像、 http://korekichi2ch.com/archives/5931749.html から拝借しました。)


P.A.様。
あなたの演奏する、理知的で美しい音のバッハが大好きです。
...なんだか小学生が書く作文みたいな言い方で、ちょっと恥ずかしいんですが。
でも、今はそれだけ言うのが精一杯です。
音楽から受けた感動を美辞麗句で飾り立てて、書き手の自分を少しでも良きもの・高きものとして演出するなんてこと、やりたくないんですよね。虚しくなるだけですから。

これからも、あなたの好きな素晴らしい音楽をたくさん聴かせてください。ずっと応援し続けます。



(残念ながらアップロード側の設定により、こちらのYouTube動画は外部ブログへの貼り付けはダメみたい。なので、こっちもG+の投稿で。)




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