2017/01/23

(5時間目の昼寝常習犯)師岡さんと、大人のための古文【再】入門 その参

ということでようやく始めた、今回の『古文【再】入門」プロジェクト。
スタートから1年少々経つが、その過程においては実にいろいろな教材をつまみ食いしてきた。
「金はかけずに!」がモットーなので、できるだけ中古本やネット上の無料教材を中心にしての低予算でやってきたつもりだ。
自分が高校時代に買い集めた(ものの、結局消化不良のままに終わった)参考書・問題集も、日本の実家から持ってきた。
たとえば、こんなところ。


古文の読解 (ちくま学芸文庫)
小西 甚一
筑摩書房
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古文研究法 (ちくま学芸文庫)
小西 甚一
筑摩書房
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いずれも、学生時代に私がお世話になったのは旧版の方である。
(上の本は元々旺文社、下の本は今は亡き洛陽社という会社から出ていた。)


【お知らせ:G+の別アカウントで細々とコレクションやってます。 
「愛しき大学受験参考書たち」 https://plus.google.com/collection/YFdMJB 】


だが、今回改めて小西先生の名著2冊を取り寄せて問題を一つ二つ解いていくうちに、またしても大きな壁にぶち当たってしまう。
この2冊を【古文参考書の最高峰】と呼ぶことについては、全く異論はない。
「実力とやる気がある」(←これ大事)人にとっては、宝の山のような価値を秘めた、非常に優れた教養書だと思う。一生付き合っていける。
実際、アマゾンのレビューでも多くの人がそのように言っている。




ただ、この小西先生シリーズに掲載されている過去の入試問題、今の私にとってはあまりにも難しすぎるのだ。
問題の要求度が高過ぎる。(昔の入試レベルはすごかったんだなー。)
比較文学者として数多くの業績を残した本物の研究者・小西甚一先生がどれほど言葉を選んでフレンドリーに解説してくださっても、私自身の持てる知識が小西先生の予想をはるかに下回る程にお粗末なのだから、仕方がない。
設問部分になると「ひえーーーっ!」「ぎょえーーーっ!」とパニックに陥ってしまう。
情けないが、こんな調子ではとても「学習」とは呼べない。
ただの肝試し体験だ。


もっともっとゆー...っくりとした速度で、まるで「幼子の手を引くように」、基礎中の基礎からやさ~しく、懇切丁寧に教えてくれるような教材を探さないといけない。
でないと、この先ちょっとしたきっかけで行き詰った時、
「あーあ。やっぱりダメだったか。」
と、あっさりと諦めてしまいかねないから、だ。
あの苦い敗北感を再度味わいたくないなら、そして「敗者復活!」の喜びを手にしたいのなら、今回は何としてでも一定レベルに到達するまでは学習を続けていかねばならない。
それも、初歩から上級まで、ちゃんと順序だてて、丁寧に一歩一歩進むようにしないと。
二度目の討ち死にだけはご免こうむりたいからね。



そこで私が目を付けたのが、昭和時代には存在すらしていなかった

【投稿動画】

というメディアだった。
要するに、YouTubeや、ニコニコ生動画のこと。
これ、導入期には学習のペースメーカーとして大変役に立ったので、ぜひ紹介しておきたいと思う。


それ以前は大して古文に興味が無かったので全然知らなかったのだが、実はYouTube上には現役の先生方、予備校講師の方々による古典文法の講義や解説動画が数多くアップされている。
唯一の欠点は、「いつまでもそこにあるとは思うなよ。」という、素人動画につきものの不安定さ、であろう。
現に、私が1年前にお世話になって、今回ぜひ紹介したかった動画の中にも、既に削除されたものがたくさんあった。
色々なご事情があってのことだろうが、一学習者としては残念無念、としか言いようがない。

【某私立高校国語科教諭で、元・河合塾講師(とプロフィール欄には書いてあった気がする)の空井和知先生。その節は面白くてためになる解説動画とHPでの情報、本当にありがとうございました!!!  
先生のHP: 国語マテリアル研究所 http://kokuken.blogspot.jp/ 】


現在(2017年1月時点)残っているもので、「古文【再】入門」組へのおススメ動画チャンネルをいくつか挙げるならば...


超・入門者向けの内容が涙出るほどうれしい、古文’s room/まさやんさんの文法解説シリーズ。


古文's room  http://kobunsroom.com/
YouTubeチャンネル・ホーム (「動画」のタブをクリックすると各々の授業ビデオへと行けます。全部で12回分あります。)
https://www.youtube.com/channel/UCdaSP4LuQR7Wpf0-ZI67m8w/featured 
 

無料動画では、助動詞のごく基本的なところまでしかカバーしていない。
そこから後は、別の教材を探してきて補えばいいだろう。
ゼロからスタートしたい人、激しく自信を失っている人にはぜひ試していただきたい。


品詞の名前?怪しいな~。
そういえば、連体詞って、何だっけ?
「ず」って、「否定」の助動詞?(←「打消」が正しい。私は高校の定期テストで堂々とこう書いて見事×を食らった。)


...なんて臆面も無く言えちゃう程の超・初級者だったら、多分「おぉ!これはま・さ・に自分にぴったりのレベル!」と安心してついていくことができるんじゃないかな。
...約1年前の私は、そのどん底レベルから始めなければならなかった。
だから、作者のまさやんさんの兄貴っぽい優しい語り口には本当に励ましてもらった。
で、何とか次の段階へとつなげていくことができた。
まさやんさん、ありがとう。



お次は、落ち着いた大人風の語りが心地良い、瓢箪堂Hyoutandoさんという方のチャンネル。
YouTubeにありがちな、妙にテンションが高い、若い子向けの動画とは正反対の、無駄を削ぎ落したすっきり感のある授業が特徴。年長の学習者には特におすすめだ。
恐らく、普段から古文を専門として教えていらっしゃるプロの先生なのだろう。

瓢箪堂国語通信 http://hyoutando.blogspot.com/

こちらも文法解説が中心。
上の古文’s roomで扱う内容が入門+超・初級~初級編だとしたら、瓢箪堂さんの授業は少しだけ上の、初級~中級、という位置付け、か。
特に、中級以上の学習者にとってはいくらやってもやり過ぎということは無い、各種の文法識別問題を取り上げてくれているので、復習用にぴったりだ。
実力が上がったら、ぜひセンター試験の過去問にも挑戦しよう。


識別。敬語。大事よ~。
でも、まずそこに行くまでは基本、基本、とにかく基本。繰り返しあるのみ!


あと、大事なトピックに絞って解説してくれている真珠書院の「高校生ちゃんねる」。
こちらの動画も大いに参考にさせてもらった。


神奈川県トップクラスの進学校・私立浅野中学・高校の小林先生が
すっきりさわやかに解説してくれている。

上で紹介した以外にも、古典文法についての講義を扱うYouTuberは、有名・無名含めて数多く存在している。
だが、動詞から助詞に至るまで、つまり、古典文法の重要事項をくまなく網羅し、初級から上級まで少しずつレベルアップしながら順序立てて解説してくれている人となると...うーむ。
残念ながら、あまり好みのタイプの先生には巡り会えなかった。


個人的に、若い女の先生の授業が苦手だ。
昔、塾で拙い授業をやっては「先生」なんて呼ばれていた経験があるもんで、若くて未熟だった頃の自分の姿と、動画の中のお嬢さん先生とをどうしても重ね合わせてしまうのだ。心がざわついてしまい、どうしても内容に没入できない。
元気いっぱいに張り上げる、女性のキンキン声でもって説明されると、その必死さ加減ばかりが画面越しに伝わってきて、こちらがどっと疲れちゃう。



となると、そろそろ市販の教材にも目を向けるべきかな、という結論へと自然にたどり着く。
値段が付いてりゃいい、ってもんでもないけれど(商品化されていたって駄作は駄作。駄本は駄本。)、「無料」「安上がり」に頑なにこだわっていては絶対に手に入らないものが、世の中には確実に存在する。



ここぞ!という時には、思い切って投資しなければいけないのだ。
(大げさ...。)



リサーチした結果、こちらの「古典文法講義の実況中継」(語学春秋社)のシリーズはどうやら避けて通れない...いや、通らない方が良い、ということがわかった。
用言(動詞・形容詞・形容動詞)の活用に始まり、助詞や敬語、それに入試問題の花形とも言うべき識別問題...といった具合に、古典文法の重要知識はほとんど全部網羅してくれているようだ。
ネット書店や、その他のレビューサイトを見ても、大変評判がよろしい。


望月光 古典文法講義の実況中継(1) (実況中継シリーズ)
望月 光
語学春秋社
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望月光 古典文法講義の実況中継(2) (実況中継シリーズ)
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語学春秋社
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望月光(もちづき・こう)先生。
初めて聞いたお名前だったが、普段は代々木ゼミナールで教えている方のようだ。
おっとりした感じの関西弁(京都弁?)が特徴的で、にこやかでユーモラスな感じの先生らしい。
多分、私たちの世代よりもほんの少しだけ上の方、じゃないかな。



書家としても活躍されている先生。板書の文字が美しい~!

よし。
いっちょ、望月先生に賭けてみるか。
そう決めて、すぐさまこの「実況中継」上・下、加えて望月先生によるもう2冊の教材とを取り寄せたのだった。



「その四」に続く。

2 件のコメント:

  1. 師岡さんこんにちは。
    古文's room のまさやんと申します。

    「古文's room」を検索していたら、こちらにたどり着きました。
    最高のお褒めの言葉をありがとうございます。
    見てくださる方がいるんだな〜と、動画作成の励みになります!

    さて、1点お願いがあります。
    実はこの度、YouTubeの動画サイトとHPを新しくしました。
    お手数をおかけしますが、どうぞ新しいサイトへのリンクへと変更して頂けたら幸いです。

    YouTube→https://www.youtube.com/channel/UCdaSP4LuQR7Wpf0-ZI67m8w

    HP→http://kobunsroom.com/

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    1. まさやんさん、コメント書き込んでくださってありがとうございます。
      動画リンク、HPへのリンク、共に早速アップデートいたしました!

      その節は本当にお世話になりました。本文でも書きましたが、本当に「なんでここまでひどいのか...」と自分でも呆れる程の古文ボケだったので、まさやんさんの動画にはどれだけ助けられたかはわかりません。ありがとうございました!!!

      「その四」(近日公開...。)で書くつもりではありますが、今はおかげさまで「正法眼蔵随聞記」の文法部分【は】(※仏教用語がわからないもんでー。)なんとかOK、となりました。「べからざるなり」もドンと来い!!!ですよ(笑)。

      NHKラジオの宇治拾遺物語講座(YouTube上にいっぱいあります。)を聞いても、文法面でコンプレックスを抱くことが無くなったため、心の底から楽しいなぁ!と思えるようになりました。
      古文を学び直して本当に良かった、と思います。金銭収入にはつながらないかもしれませんが、生涯楽しめる趣味がこれでまた一つ、増えました!

      これからも、世の現役受験生・大昔受験生だった人々のために、古文を学ぶことの大切さを説き続けてくださいね。YouTubeの動画、復習用にまた見に行きます。

      まさやんさんも、素敵な週末をお過ごしください\(^o^)/。

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